通訳ヌナと… 【Yoongi：3】

キス -You- ページ26

突然。
頬に感じたユンギさんの冷たい手。

…と思ったら。

唇に…
温かなユンギさんの体温を感じて…


目の前に、
目を閉じたユンギさんがいて、
黒い睫毛まで見える。


頭が真っ白で…
何も考えられなくて…

動くこともできず、
ただ目だけがキョロキョロと…
視線が定まらず動いていると…っ！


さっきまで目を閉じていたユンギさん。
そのユンギさんの黒い目が見えて！


「…っ！」


顔に力を入れて顎を引くと、
忘れていた呼吸をし、
何度も酸素を吸い込んだ。


待って…

今の…何…？

なんで…


「ごめん…勝手に」

そう言いながら伸びてきた手。

さっきの跡を消すかのように、
親指で唇を拭われた。


「A…ちょっと落ち着け」

顔は上げられないままで、
ユンギさんのその声が頭の上から降ってきた。

そうだ…

ぷつんって糸が切れた音がして、
その次の瞬間、
ずっと溜め込んでいた想いが一気に溢れ、
途中ユンギさんが何度も声をかけてくれたけど、
溢れ続ける想いを止めることができなくて…


「ごめんな…さい」

そう口にすると、
ふっ…と…
ユンギさんが鼻で笑う音が聞こえ…

また背中に腕が回され、
優しく抱きしめてくれて…


「足…痛くね？ここ、声 丸聞こえだし…
座ろっか？ちゃんと…全部話すから…」


また耳のすぐ上で声が聞こえたけど、
今度は身体は震えなかった。

そのかわり。

またユンギさんの服の裾を持ち、
本当に少しだけ…
気持ちだけ…

本当にちょっとだけ身体の力を緩め、
ユンギさんの身体にもたれかかり頷くと…


またキュッと、
ユンギさんの腕に力が入ったのを感じ、

都合のいい勘違いなのかもしれないけど…
ユンギさんが唇が…
頭というか髪というか…
触れるのではなく、
まるでそこに押し当てられている感じがして…



さっきは避けないでほしいって口にしたけど、
明日からまた避けられたとしても…

もういいや…

今日の思い出だけで充分だ…って。

本当にそう思うくらい、
嬉しくて、幸せで…


力が緩み、身体が離れ、
ユンギさんが私の顔を
覗き込んでるのがわかったけど…
顔は上げられず、そのままだった私。

また、ふっ…て鼻で笑う音が聞こえたかと思うと、
そのまま手を引かれ…
窓際にあるソファーに腰を下ろした。

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