特別 -Yoongi- ページ29
空港で飛び交う声。
その中で嫌なほどクリアに聞こえるAの声。
決して大きな声じゃない。
なのに、耳がその声を嫌なほど正確に拾う。
いつもなら自然と身体が動き、
声がする方を見た。
けど今は、その声がする方に背を向けた。
控え室でメンバーと固まっている時。
仕事の話をしに来る時のAは、
個人的な話じゃない限り、
リーダーであるナムジュンにまず話しかける。
いつもなら話を聞くふりをしてAを見たり、
何か違う話はしないかと気になって、
そこから動かず、
むしろ近づいて聞き耳をたてるのに。
近づいてくるだけで胸がざわつき、
そばで声を聞くと、居ても立っても居られなくなる。
だから…
席を立つようになった。
Aは俺にとって『特別』な存在だった。
そしてどれだけ『特別』だったのか。
こうなってから、
本当に痛いほどよくわかった。
『特別』だから他のヌナ達と同じように、
『普通』の存在にはなれない。
不器用な俺はAに対して、
『特別』なのか、それ以外か…
そうしか接することができなかった。
リハや番組のインタビュー。
どうしたってAの力を借りないといけない。
でもどうしても目を見ることだけはできず、
口元や首元を見て、
視線を合わさないようにして仕事をした。
『普通』に接すること。
普通にAを見たり、
普通にAと話したり…
それは、どうしてもできなかった。
目を合わさない。
極力話さない。
避ける。
そんな態度を急に取り、
理由さえ話さない俺は本当に最低だと思うし、
この選択が正しかったのか…
もう考えてもどうしようもないんだけど、
それでもどうしても考えてしまい、
勝手に苦しくなる日々。
ただ自分が嫌で、
腹立たしくてたまらなかった。
それなのに、
ふとした時に盗み見る癖。
癖というか、何というか…
それをやめることもできなかった。
Aの…
いつも口角が上がった口元や顔が好きだった。
今もそうやって
にこやかにヌナ達と話しているけれど…
なぜか顔色が曇って見えるのは、
自分が曇らせたという自覚があるからなのか…
俺自身が曇ってしまったから、
そうとしか見えないのか…
背を向けたのは俺。
なのに、
どうしたって振り返ることもやめれず。
何度も何度も振り返り、
俺を見なくなったAを、
一生懸命目で追った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1822人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
がほ(プロフ) - コットンさん» ありがとうございます^ ^朝起きて、コットンさんを含め、たくさんの方に読んで頂けて、ただただ驚いております(O_O) (2019年3月4日 13時) (
レス) id: ebe247b3cf (このIDを非表示/違反報告)
コットン(プロフ) - がほさん» もちろん3もチェックしております笑楽しみです！ (2019年3月3日 22時) (レス) id: c7fe2a89ef (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - あかりさん» こんばんは☆コメありがとうございます^ ^素直になれないユンギさん…彼女のことを思って…ってのを、書きながら一人でにやけ悶えてます笑 こんだけユンギに想ってもらえる女の子…羨ましい！応援ありがとうございます^ ^ (2019年3月3日 20時) (レス) id: ebe247b3cf (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - コットンさん» こんばんは☆コメありがとございます！ユンギさん…素直になれず、空回り中…今後の展開、ぜひ読んで下さいね^ ^『2』がいっぱいになったので、『3』も書き始めました^ ^ (2019年3月3日 20時) (レス) id: ebe247b3cf (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - これからどうなるのかめちゃくちゃ楽しみです！ユンギさんが素直になってくれればと願ってます笑 忙しいと思いますが、更新頑張ってください応援してます◎ (2019年3月2日 22時) (レス) id: e14988d736 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：がほ
| 作成日時：2019年1月15日 10時
