通訳ヌナと… 【Yoongi】

seesaw -Yoongi- ページ50

別にAは音楽評論家でもなければ、
プロデューサーでもない。

音楽なんて、好みも解釈も人それぞれ。
正解なんてない。

「seesawは…」

「Answerみたいに好きな所とか、気になる歌詞は……なかった？」

でも自分から聞いておいて、
今何かを考えているAの、
その口が開くのが少し怖い。

全ての曲が好きで、
全ての曲に気になる歌詞があるわけじゃない。

ヒップホップ系が好きとか、
盛り上がる曲が好きとか、
バラードが好きとか、
好みなんて絶対にあるし。

自分から聞いておいて、
AnswerはAの好みだから好きな所や気になる歌詞はあるけど、
俺のソロ曲はA好みじゃなかったらどうしよう…

どうって、それならそれでいいんだけど、
それなのに解釈を求めてしまって、
どうしよう…と。

今更ながら、少し後悔してきた。

したって遅いんだけど。


でも…

「上手く言えないんですが…seesawって、全部ラップじゃ…ないじゃないですか」

「うん」

「けど、ユンギさんはいつもはラップ担当じゃないですか」

担当？
言い方が可愛すぎる。

「うん」

「だから、貴重っていうか…新鮮っていうか、ユンギさんの歌い方が、まず好きです」

「どんな歌い方？」

足を組み、膝に肘を置き、
手に顎を乗せ、口元を隠した。

「どんな？…なんか…最初の方のぽそぽそとした歌い方が…好きです」

「ぽそぽそ？何それ？聞き取りにくいってこと？」

「違っ！そういう意味じゃないんです！なんていうか、こう…低い声で、囁くように歌うのが、いつものラップをする時と違うからそう表現しただけで…」

あー、もうダメだ。
言葉の選び方とか、訂正の仕方とか、
わかってるよ、そういう意味じゃないってこと。

いい加減、
何回思わせんだよ！って突っ込みたくなる。

どんだけ可愛いの？って。

「で？」

食い入るように身を乗り出し、
さっきまでは怖がってたくせに、
今は続きが聞きたくてたまらず先へと促した。


けど…


言いにくそうに出てきた次の言葉。


一瞬にして、
身体が固まった。

驚きも隠せない。

言葉が出てこない。

知りたかったことが知れた。
聞きたいことが聞ける。

けど予想もしてなかった話に、
その現実に、
凍るというか、固まるというか…



「実は…seesawは歌詞と全く同じ状態で悩んでた私の背中を押してくれた、感謝してもしきれない、本当に思い入れのある曲なんです」


全く同じ状態？

って…ことは…

え……？

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