イヤフォン -Yoongi- ページ31
「スマホのイヤフォンだろ?メーカーとかにこだわりあんの?」
「え…?あ、こだわりはないですけど…」
「なら俺のやるよ。予備でいくつか新しいの持ってきてるし」
「え?そんな…ダメです!!申し訳ないです」
「何で?」
ダメって…そんなにハッキリと、
両手を振りながら拒否しなくてもいいのに。
「何でって…ユンギさんのなんて…。私の耳なんて付属品ので充分だし、なんならもっと安い雑貨屋のやつでも平気な耳なんで」
本当に何でこんなに『可愛い』って思うのか。
マスクしてて良かった。
頬が痛いほどにやけるんだけど。
「なら良かった。高級品じゃないと無理な耳って言われたらどうしようかと思ったけど。一応…付属品よりかは良いやつだと思うけど?今日のお礼もしないと、だし」
「お礼?とんでもないです!本当にそのお気持ちだけで充分ですから」
一々一々。
一言一言。
多分、普通のことを言ってるんだろうけど。
「A」
両手を振って、
ペコペコとかしこまって。
一歩後ろに下がって、
今にもこの場から離れていきそうだったから。
だけど名前を呼べば、
一瞬にして…ピタリと動きが止まって。
本当にどうして…
「ワイヤレスとコードのやつ、どっちがいい?」
「え…」
「どっち?3…2…い」
「コード」
だと思った。
ワイヤレス、使ってんの見たことないし。
「色は…黒と…あ、黒しかないか。真っ黒か、青い線が入ったやつか?3...2...」
「え…えっと…っ」
「青い線、決定!」
どっちかと言えば青い線の入ったやつの方が性能が良いから。
「ユンギさん…その…」
きょとんとした顔で。
ちょっと困ったような、戸惑ってるような表情で。
それはイヤフォンのことで?
それとも…
名前のことで?
「行こう?」
もう買う必要はないから、
マネージャーの所に戻ろうって身体で表せば、
「はい」
…と、
その口元に小さな笑みが浮かんだのが見えたから。
Aに背を向け歩き出し、
下を向くと、我慢できず笑みが溢れた。
お礼…というのはある意味口実で、
何て言うか…
自分が持っているものをあげたかった。
無理矢理だけど。
でも最後は笑ってくれたし。
ちゃんとついて来てるのか…
途中チラッと後ろを向けば、
本当に一瞬。
一瞬だけ目が合って、
微笑むでもなく、そのまま前を向いたけど。
いまはどんなAを見ても、
笑みが溢れてしまう。
どうしようか…
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がほ(プロフ) - miiさん» このお話まで読んで下さったんですね^ ^嬉しいです!ありがとうございます! (2021年10月1日 21時) (レス) id: 242c469720 (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - キュンです (2021年9月27日 4時) (レス) id: d47eb74ff4 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - ちむちむさん» こんにちは(^^)こちらこそ、コメたくさんありがとうございます!お話できるの楽しいです^ ^ (2019年1月16日 12時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
ちむちむ(プロフ) - がほさん★お返事までありがとうございます!楽しみにしてます^^更新楽しみなので無理をせず頑張って下さい^^ (2019年1月16日 10時) (レス) id: 44d6afde63 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - ちむちむさん» ちむちむさん(^^)コメントありがとうございます!大好きだと言ってもらえて嬉しいです!更新頑張りますので、続きも読んでもらえるともっと嬉しいです^ ^! (2019年1月16日 9時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:がほ | 作成日時:2018年11月26日 12時