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こぼれる -Yoongi- ページ21

本当は気づいていた。
本当はわかっていた。

でも、見て見ぬふり。

認めてはダメだから、
気づかないふり、
知らないふり。

そうやって自分を抑えてきたけど、
もう限界だった。

自分の中で自分を認めれば、
想いや、抑えていた感情が一気に溢れ出し、
もう止めることはできなかった。


ユンギ 。
俺の名前。

何千、何万回と呼ばれてきたけど。

Aに名前を呼ばれるたび、
ゾワッと細胞がざわつく感覚。

嬉しさなのか、
恥ずかしさなのか。

緩んでいた口元がますます緩み、
思わず…にやけそうになるのは…
もう何度目だろう。

そんな自分が毎回恥ずかしくて、
平静を装いながら目を逸らし、
鞄の中からポケットに突っ込んだモノを取り出した。

「はい…飲んで」

スティックの先端を指で切り取り、
それをAに渡した。

「え…これ…」

突然のことに驚くA。
いきなり水のペットボトルを渡されたと思ったら、
次は得体の知れないモノ、

「高麗人参。苦いけど飲んで」

高麗人参のエキス。
毎日は飲んでないけど、
疲れた時には飲むようにしてるやつ。

「いいんですか?」

「早く」

「ありがとうございます…いただきます」


Aが手を伸ばして受け取った時、
少しだけ触れた指先。

それだけで心臓が音を立てたこと。
知ってるのは自分だけ。
そのことをすごく安堵した。

驚きながら、
不思議がりながら、
やや怪訝そうな表情で。


でも受け取って、口元近くに持って行った時、
またやってしまった…


「で、体調は?熱あんの?」


空気が読めないというか、
こういうことに慣れてないというか…

口に出してから気づく自分が本当に嫌になる。

聞いた瞬間、前と同じ。
ピタリと止まってしまった手元。

AもAで、
何か言わないと認めてるのと同じことなのに。

周りには変わらず元気よく笑顔で振舞ってんのに、
確信を突かれるとそうなんの?
嘘がつけないの?
嘘が下手なの?
隠せないの?


自分の中で、感情がどんどん溢れ出すのがわかる。


「もういいや。早く飲んで。こぼすから」

「あ、はい!」

不安げに戸惑う姿を見てると可哀想になって。

急かすようにそう言えば、
少しだけ顔を背けスティックにパクついて。


抑えることもできず、
気づいたら…

こぼれてしまったのは、
俺の笑い声だった。

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設定タグ:防弾少年団 , BTS , ユンギ   
作品ジャンル:恋愛
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がほ(プロフ) - miiさん» このお話まで読んで下さったんですね^ ^嬉しいです!ありがとうございます! (2021年10月1日 21時) (レス) id: 242c469720 (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - キュンです (2021年9月27日 4時) (レス) id: d47eb74ff4 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - ちむちむさん» こんにちは(^^)こちらこそ、コメたくさんありがとうございます!お話できるの楽しいです^ ^ (2019年1月16日 12時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
ちむちむ(プロフ) - がほさん★お返事までありがとうございます!楽しみにしてます^^更新楽しみなので無理をせず頑張って下さい^^ (2019年1月16日 10時) (レス) id: 44d6afde63 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - ちむちむさん» ちむちむさん(^^)コメントありがとうございます!大好きだと言ってもらえて嬉しいです!更新頑張りますので、続きも読んでもらえるともっと嬉しいです^ ^! (2019年1月16日 9時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:がほ | 作成日時:2018年11月26日 12時

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