通訳ヌナと… 【Yoongi】

体調不良 -Yoongi- ページ3

何、今の。
どうした、俺。


一瞬、視界がスローモーションのようになった。


マネージャーの声にハッと正気を取り戻したものの……


今度はスローモーションではなく、
目は正常だけど、
身体が硬直したかのように固まってしまった。


またマネージャーの声が聞こえ、
我に帰ったわけだけど……


何これ。
怖いんだけど。


何だろう…

眼精疲労？
疲れが溜まってる？

自分の身体が心配になった。



新しく入った通訳スタッフ。

大柄なマネージャーの横に立つ、
小柄な女性。

おいおい、マネヒョン。
何そのデレッとした、見たことがない顔。


ってかそんなのはどうでもいい。
何これ。
今度は胸が息苦しい。

順番に挨拶をしながら、
笑顔を浮かべるメンバー。
握手を求めるメンバー。


そんな中、
「SUGAです」


俺は名前を言うだけで精一杯。

言った後、大きく息を吸い、
鼻から吐き出した。

それでも息苦しさは治らない。



「AAといいます。よろしくお願いします」

聞き取りやすい、キレイな声。

A…A…

日本人？



あーーー
ちょっと待って…
呼吸が苦しい…
心臓がキューッとする。
ぞわぞわもする。


何だよ、これ。







「ユンギ ヒョン！さっき、新しい通訳スタッフのAさんのこと、めっちゃ見てませんでした？」

挨拶が終わり、
身体の不調も次第に落ち着き、
さあ…練習を始めるか…と思っていたら。

マンネだけど人一倍感の良いジョングクが、
こっそりとそう言ってきた。


「は？」


見てないし。

ってか、こっちは身体の調子がおかしくて、
どこ見てたかなんか覚えてないし。


「ガン見でしたよ…っ痛！」

太ももに軽く蹴りを入れたけど、
大袈裟な…
こんなのでお前が痛いはずがない。



ニヤニヤと笑いながら去って行くジョングク。

くだらない。



くだらない…けど。



ん？


んん？


見てたのか？俺。



思い出すように頭に浮かべてみれば、
やたらハッキリとAさんのことが頭に浮かんだ。




あーー
もういい。
どこ見てたっていいじゃん。

面倒、面倒。

くだらないことを考えるのは面倒。

それよりもこの体調。

寝不足かな？
風邪の引き始め？

身体がおかしかったのはそのせいかな。

今夜は練習終わったらまっすぐ家に帰ろう。






身体に感じた初めての違和感。

その本当の理由を知る術もなく、
体調不良のせいだと信じて疑わなかった…

当時の俺。

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