通訳ヌナと… 【Yoongi】

変わらないもの -Yoongi- ページ15

エレベーターのドアが閉まった瞬間、
一時停止。

振っていた手も止め、
まだ空っぽな頭でボーッとし…

もう片方の手で、上げていた手を下ろした。


ゆっくりと目を閉じて考える。

…何やってんだろ。

何にも考えてなかった。

Aが立ち上がったから俺も立ち上がって、
歩き出したから俺も歩き出して、
エレベーターに向かったから俺も向かって。


寝起きだからなんなのか…

なんか…

すごく不思議な感覚に包まれた。





そして始まった今回のツアー。

ソウルでのコンサートが終わると、
次は約1ヶ月半の欧米ツアーが始まる。

その間は韓国に帰らず、
アメリカ、カナダ、イギリス、オランダ、ドイツ、フランス…

各国を回るから、
準備する荷物の量もとんでもなく多くなる。

準備をして、
欧米公演に向け細かな調節をして…

空港に向かえば、
そこには同じようにアメリカに向かうAの姿があった。


昨日も見たのに…
一昨日も見たのに…

なぜか懐かしい気持ちになるのは…

今日着ているAの服が、
あの夜の、あの白いシャツだからかな。



あの日から続く不思議な感覚。

Aを見ると、
よりその気持ちが高まるけど。


そういう時は目を閉じて…

Aを消して、他のことを思い浮かべて…

気持ちを切り替えるようにしている。



この不思議な感覚の名前を…意味を…

知らないと言ったら嘘になる。


だけど。


自分の中で、
知らないふりをする。

気付いてはダメだから。
認めてはダメだから。


今と…
変えてはダメなものだから。


変わらない。
俺は、何一つ変わってない。
変えてはダメだから。

だからこの不思議な感覚は認めず、
知らないふりをし、
気づかないふりをする。



「はい。これチケット。これがテヒョンさんので…これがジミンさんので…」

「お？なんでヌナが？」

「マネージャーさん、今電話してて、配っててって渡されたから…これがジンさん」




これも変わらない。

近づくAに自ら近寄ることはしない。
みんなの輪に入るようのなことはしない。

今までと同じ。
聞き耳を立て、距離を保つ。


自ら近寄ったのも、声をかけたのも、
あの日だけ。



けど…



変わらないものの中で、
変わったものをあげるとしたら…


それは…

変わったもの -Yoongi-→←限界 -You-

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