JIYONG -2-

電話 -You- ページ10

撮影が終わって、みんなで食事に行った。

疲れてたせいか、久しぶりに飲んだからなのか、
抑えていたつもりだったけど酔いが回り、
部屋に着くと真っ先にシャワーを浴びた。

本当はベットに寝転がって休憩したかったけど、
そうしちゃうと起き上がれなくなるのはわかってたから。

シャワーを浴びて、スキンケアをして、
髪を乾かし、歯磨きもして。

全部し終えてベットにダイブ！

この気持ち良さったら。

目を閉じた瞬間、気持ち良すぎて寝そうになったけど、眠りに落ちるか落ちないか、その微妙な瞬間。

握りしめていたスマホが鳴った。

もうちょっとで寝れそうだったのに…

そう頭で思うも、目はすぐに開かなくて。

定まらない焦点。
動き出さない思考回路。


あ…そういえば、
夕方お母さんから電話があったんだ。


電話があったのは事実。
撮影中で取れなくて、ホテルに帰ったらかけ直そうとしてたのを忘れてた。

だから、動き出さない私の頭は、
この電話はお母さんからなのだと勝手に確信してしまい。

誰からなのか画面も見ずに電話に出てしまった。

しかも、

「もしもし？」

何も考えず、眠そうな声で。

「あ…寝てた？」

その声や口調。
一瞬、いつもと違う違和感を感じたけど、

「うーん。寝そうだった」

何も考えずに答えてしまった。

「あのさ…誰かわかってる？」

うん？

そんな事を聞かれ、パッと目を開けた。

目をきょろきょろと動かして状況を把握しようとするも、咄嗟のことで軽くパニック状態に。

「寝ぼけてる？俺だけど」

笑いながらそう言われ、すぐに誰なのかわかった。
慌ててスマホを耳から離し、画面を確認すると、
正解…ジヨンさんからだった。

「あっ…ごめんなさい！ちょっと寝ぼけてて、お母さんからだと思って、勘違いしちゃって。本当にごめんなさい！」

いつの間にか起き上がっていた私は、
ベットに座り、ペコペコと頭を下げていた。

「お母さん？なら良かった」

「え？」

「ううん。あのさ…ちょっと今いい？眠い？」

「全然！もう大丈夫です！」

「そっか。あのさ…久しぶり…だよね？今、シンガポールにいるんだって？」

「そう…なんです。ファンミーティングがあって、それで」

「MVの代役も務めたって聞いたけど…撮り終わった？」

「えっ…あ、はい」

「お疲れ」

「え…」

「お疲れ様」

ジヨンさんの言葉。
耳から入って、
私の全身を駆け巡るような気持ちになった。

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