JIYONG -2-

ズルい -You- ページ11

もう忘れようと思って、
もう考えないようにしようと思って、
終わりをなんとか受け止めようと思っていた。


なのに。


1ヶ月ぶりの電話。

突然、夜中に家に来た時と同じ、
ただのジヨンさんの気まぐれ。

でも、気まぐれであっても…

『お疲れ様』
その言葉が勝手に優しく聞こえて、
嬉しくてたまらなくて。


気まぐれ。

気まぐれなんだけど、
忘れよう、終わりにしようって思っていた気持ちは、一瞬にして私の中から消えてしまった。


わかっていたつもりではいたけど、
今、身に染みて、痛いほど気づいた。


私は、ジヨンさんのことが好きだ。


好きでたまらない。


身の程知らずなことは願っても無理だとわかってる。


これからどうなりたいかなんて、わからない。


ジヨンさんの気まぐれで、喜んだり、悲しんだり、
きっとこれからも多々あると思う。


気まぐれのせいだけじゃなく、
ジヨンさんの話を聞いて、すごく苦しくて、胸が辛くなる時も今までもあって、これからも必ずある。


それでも、どんな形でもいいから、
私はジヨンさんのそばにいたい。


その為に自分の気持ちを隠さなきゃいけないなら、
必死で隠すから。


あの夜のことも、
バレたらそばにいられなくなるのはわかってる。


気持ちも過去も、必死で隠すから。


だから、ジヨンさんのそばにいたい。


「Aさ、元気してた？」

久しぶりの声。
久しぶりに呼んでくれた名前。
久しぶりすぎて、嬉しくてたまらない。


「はい。ジヨンさんは？」

「俺は…まあまあだった…かな」

「え？体調…悪かったんですか？」

「うーん…まあ、そんなとこ」

「今もまだ、どこか…？」

「今はもう元気。あー、やっと心配してくれた」

「え？」

「連絡……ずっとなかったし。まぁ、俺もだけど」

「えっと…それは…」

「もしかして…好きな男…できた？っていうか、その……友達、やめたくなった？」

「そんなわけないじゃないですか！！」

「声デカすぎ」

「あっ！ごめんなさい！」

だって…突然そんなこと言うんだもの。
そんなこと、1mmも思ってないのに。


「なら、良かった。さっきさ、お母さんと勘違いしたって言ったじゃん？一瞬、誰か他の男の声と勘違いされてたらどうしようって思ってた」

「え？」

何で…そんなこと言うんだろ。
本当に…ジヨンさんはズルすぎる。

そんなこと言われたら、
少なくとも私は勝手に都合よく取ってしまって、
息するのも苦しいほど、胸がドキドキして死にそう。

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