声 -Jiyong- ページ48
Aは多分気づいてないと思うけど、
あれから何度もAを見たよ。
自分の気持ちに気づいてから。
会社の駐車場で車に乗ってる俺とすれ違ったことも何度かあったし、
会社に来るたびに用もないのにAがいるであろう練習室を覗いたり、
食堂にだってこっそり何度も足を運んだ。
一緒に車でドライブした道。
Aの家。
思い出を辿るように、
何度も一人で通ったよ。
俺の家。
Aを押し倒し、無理矢理キスをしたベットで、
一人包まってAを毎晩想ったよ。
笑顔のA。
真剣な表情のA。
ボーッとしているA。
直接この目で見るたびに、
思わず手が伸びそうになったこと。
触れたくてたまらなくなったこと。
名前を呼んで、こっちを向かせたくなったこと。
でもその度に、自分を押さえつけたこと。
自分の気持ちには気づいたけど、
自分のこの手が、自分自身が、
汚れているようで。
触れたらAまでも汚してしまいそうで。
それに、当たり前だけど俺に気づかず、
Aの視界には俺がいないこと…
Aの心の中にも、
もう俺はいないんじゃないだろうか…って。
今 手を伸ばしても、
顔を背けられ、背を向けて歩かれたらどうしよう…って。
そんなことを思ったら、
怖くて手を出すことなんかできなくて。
ただ遠くから、
隠れるようにして見ることしかできなくて。
今日もそうだった。
会社に来て、いつも同じようにAがいるであろう練習室に向かい、こっそりと覗きながらドアの前を通ろうとした時…
いきなりドアが開く音がし、
咄嗟に角を曲がり隠れてしまった。
って…
別に隠れる必要ないし。
そう思い、歩き出そうとした時、
鼓膜にAの生の声が響いた。
「もしもし…」
耳を擽るような声色。
たったそれだけで身体がゾクッと反応する。
はい…
今から練習があるんです…
ポソポソっと話す声。
誰と電話してる?
そう思った時、いきなり聞こえた大声。
「A!テヒョンオッパから?」
テヒョン…オッパ…?
「セジン!声大きい!」
「何て?」
「何も…練習頑張ってって」
「嘘。24日楽しみにしてるからーとかって言われたんでしょ?」
「セジン!」
困ったようなAの声と、
明るいセジンの声。
練習室のドアが閉まると、
何も聞こえなくなった。
何も聞こえなくて、
空の色と同じ、
目の前が真っ暗になった。
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がほ(プロフ) - anzさん» コメ頂いたのに、お礼が遅くなりすみません!最近更新がなかなかできなくて、本当に申し訳ないです。土日で頑張って更新しますので、良かったらまた読んで下さいね^ ^ (2018年11月3日 12時) (レス) id: c74390b1f3 (このIDを非表示/違反報告)
anz - 初めまして(´ ˘ `)凄くドキドキする作品をありがとうございます!毎日楽しみに更新待ってます! (2018年10月25日 7時) (レス) id: c7fabd4acc (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - ユリアさん» こんにちは^ ^コメありがとうございます!なかなか更新が出来ずすみません!楽しみにしている…と言って頂けて嬉しいです^ ^ (2018年10月20日 9時) (レス) id: c74390b1f3 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - いつも楽しみにしてます!これから先どうなるのかドキドキです! (2018年10月9日 18時) (レス) id: 3eb3ef9154 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - なつこさん» こんにちは^ ^コメありがとうございます!ドキドキしながら読んで下さって嬉しいです^ ^3連休中に続きを更新できるよう頑張りますね^ ^ (2018年10月5日 11時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:がほ | 作成日時:2018年8月23日 15時