JIYONG -2-

紅茶 -You- ページ17

紅茶なんて、もう何十回…いや、もっとか。
何度も淹れてきて、私にとっては簡単なこと。

なのに今日は、
お湯、これくらいで大丈夫かな？
茶葉、少なかったかな？
などなど。

いろいろと気になり、不安で仕方ない。

「Aー、アイスでお願いね」

ソファーにゆったりと座り、
笑顔でそう注文するジヨンさん。

「氷は押したら出てくるし、グラスはそっちの棚にあるから」

意地悪そうに笑って、
ジヨンさんは指差しをするのみ。

「棚って…ここのどれを使えば…？」

たくさんのグラス。
絶対に高級なやつ。
だって、うちのと輝きが違うもん。

「どれでもいいよ。Aチョイスで」

「ジヨンさん！」

たまらず声を荒げてしまった。

さっき私が緊張する、と言ってから、
なぜかそれが面白かったらしく、
ずっとこんな意地悪をされる。

ジヨンさんの家のキッチン。

それを好き勝手になんかできないのに。

ポットも見たことないオシャレなやつだし、
ティーポットも絶対に高価！

棚だって、扉を開けるのさえ気がひけるのに、
グラスまで選べ、だなんて…

手が滑って割ったらどうしよう…とか、
もう本当に泣きそうなんだけど。

しかもこの冷蔵庫。

こんなの見たことない。
海外製…だよね？

扉にアイスディスペンサーが付いていて、
お店みたいにバーを押すと氷が出てくる。

なんかもう、溜め息が出る。



「あー、美味い！喉も鼻も楽になる！」

「良かったです」

無事、淹れ終えて、一安心。

さて。

「何それ？」

「あ…これ、一応保存用で持って来たんですけど、まだ飲みますか？」

「え？作って置いててくれるの？」

「これ、私の家にあったやつなんですけど、あ！もちろん新品です！立てても横にしても大丈夫なんで。じゃあ…作りますね」

良かった、持って来て。

で、また紅茶を淹れ始めたものの…

「ジヨンさん？」

ずっと隣に立って、手元を見てくるジヨンさんが気になって。

「ん？紅茶って、そうやって淹れるんだ。初めて見た」

「コーヒー派…ですもんね？」

「うん。Aの家のコーヒーも美味いけど、紅茶も結構好きかも」

本当にもう…
お世辞でもサラッとこんなことを言ってくれるんだもの…身が持たない。

「あ、また耳が赤くなってる」

そう言われ、反射的にジヨンさんの顔の方を見てしまった。


ヤバい…どうしよう。
１ヶ月ぶり…

自分の気持ちを認めてしまってから、
感情を抑えることができない。


ジヨンさんが、好きでたまらない。

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