鶏粥 -Jiyong- ページ26
「…っ！」
「ごめん！起こしちゃった」
「いや…、あー…寝てた…」
身体を起こしソファーに座り直すと、
真っ先に目に入ったテーブルに置かれた鶏粥。
それと、よだれが出そうなほどの良い匂い。
「ごめんね…手が滑っちゃって」
「ううん。どれくらい寝てた？」
「えっと…ちょうど30分かな？」
「そっか」
Aを抱きしめたまま首に顔を埋め、
匂いを嗅ぐようにわざと何度も深く鼻から息を吸い込んで。
そしたらいきなり襲って来た眠気。
気づいたAが俺に寝るように言ってきたけど、
眠くない！
…そう言おうとした瞬間、
グルルルル……と鳴った腹の音。
吹き出して笑うAと、
情けなくて恥ずかしい俺。
「朝ごはん一緒に食べよっか。何がいい？」
何がいい…？
何でもいい。
Aが作ってくれるものなら、
何でもいいに決まってる。
けど、頭にポンッと浮かんだ料理。
「鶏粥が…食べたい」
「鶏粥？鶏肉あるから作れるよ。じゃあ、作るまで横になって寝ててね」
「本当に？ありがとう」
まさかまさか、食べれるなんて思いもしなかった。
キッチンに立つAの姿。
本当に久しぶりに見る。
冷蔵庫を開ける音。
食器の音。
コンロの火をつける音。
水の音。
そして、料理をしてる時のAの表情。
どれも懐かしくて、
どれも心地良くて、
どれも大好きなもの。
もっと見ていたいのに。
もっと聞いていたいのに。
瞼が重くて重くて…
何度も一生懸命開けようとしたけど、
気づいたら……
ゴトッという音が聞こえ目を開けると、
目の前のテーブルにあった黄色い鶏粥。
ズルズルとソファーから降り、
テーブルの前に座った。
ジウォンのインスタで見たのは間違いなくこれ。
何度も食べたことがある。
だけど、もう二度と食べれないと思ってた。
「はい、スプーン。あ、お水持ってくるね」
スプーンを受け取って、
そのまま鶏粥を少しすくい口に入れた。
あ……
何だろ、全身の細胞がザワザワと動き出した。
一口、二口…止まらない。
知ってる、この味を。
知ってる、このAの料理を。
「美味い…」
「本当？良かった」
美味い…
本当に美味い…
何ヶ月ぶりだろ。
心の底から食べ物を美味いと思ったの。
もっと食べたい。
あれも、これも…
前のように、Aが作るものが食べたい。
不覚にも、目頭が熱くなる。
Aと別れてから涙もろくなった俺。
だからって、
鶏粥に泣かされるなんか思わなかった。
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がほ(プロフ) - まあさん» こんばんは！コメありがとうございます。お返事が遅くなり申し訳ありません。本当に…幸せな感情だけじゃないですよね。好きな気持ちが強いほど、好きなものが多いほど、喜びも悲しみも多くて。私のお話をステキだと、大好きだと言ってくれて本当にありがとうございます (2017年12月26日 19時) (
レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - Wada Chisakiさん» こんばんは！コメありがとうございます！お返事が遅くなり申し訳ありません。1週間たち少し気持ちは落ち着きましたが、更新は多分年明けになるかと思います。こんな私のお話を読んで下さり、本当にありがとうございます。もうちょっと時間を下さいね。 (2017年12月26日 19時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
まあ(プロフ) - がほさんへ 何かを好きになれば幸せな気持ちをたくさん味わえるけど、幸せ以外の感情にもさらされること、ありますよね・・・彼らに思い入れのあるがほさんの作る作品だから、ステキなんだと思います。がほさんの作品、大好きです。 (2017年12月24日 18時) (レス) id: bfea8ea9a4 (このIDを非表示/違反報告)
Wada Chisaki(プロフ) - 初めまして。がほさんの作品大好きです！この間のK-POP界は本当に激震が走りましたね。お気持ちお察しします。無理なさらないで下さいね。いつまでも楽しみに待っています。 (2017年12月21日 22時) (レス) id: cb6c2fbbf2 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - サナエさん» こんにちは^ ^コメありがとうございます！ジヨン目線の方はフラグ付きになりますので、18歳以上であれば私の作品の中から検索して頂ければ出てくると思います^ ^ (2017年12月16日 10時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がほ
| 作成日時：2017年11月21日 22時
