欲求 -Jiyong- ページ19
初めて抱いたあの日から、
俺の頭の中はそのことばかりになってしまった。
ちょっと気を抜けばあの時のAが頭に浮かんで、
表情や声、身体とか。
とにかく思い出しちゃーニヤニヤして、ただの変態だ。
思春期の頃のような…
もうそのことばっか考えてる、ただのオスみたいな。
だけど公演が増えたり、延びたり。
韓国に帰らず次の国へ行ったり。
帰ってきても別の仕事に直行したり。
あの日からゆっくり会えてない。
ツアー中だから当然っちゃー当然なんだけど。
それでも韓国に帰ってきて、時間に都合がつけば、
前と同じように職場まで迎えに行く。
だけどAの家に着いて、
そのまま『バイバイ』するのが前より嫌で仕方ない。
前とは違って車の中で絡む指。
信号待ちの間、手を伸ばせば触れさせてくれる身体。
『バイバイ』の時に、軽くする触れるだけのキス。
Aはいつも笑顔だけど、
俺はそれだけじゃ満足いかなくて、
いつも求めるように去って行く背中を見ている。
だけど今日！
今日は送るだけじゃなく、少し時間を貰えた。
だからAを待つ間、少し遠くにドライブしようかとか、どこかに行けるかな？とか考えていた。
だけどAに会えた瞬間、
行きたい場所は１つしか思い浮かばなかった。
「今日ちょっと時間あるから…コーヒー…飲んで帰ってもいい？」
なんて聞いたけど。
玄関のドアが閉まった瞬間、我慢できずにAを抱きしめてた。
抱きしめればキスがしたくなって、
キスをすれば身体に触れたくなって、
身体に触れれば欲しくなって。
『待って』って。
キスの合間にAは何度もそう言ったけど、
最後には諦めたのか、呆れたのか、
全くやめない俺に折れて、受け入れてくれた。
だけどこの前と同じ。
抱いて満足して、欲を満たして、
だけどその次に襲ってくるのは後悔。
後悔と申し訳なさ。
この前みたいに泊まることもできないのに。
さっきからスマホは鳴りっぱなしで、服を着て帰らなきゃいけない。
「頑張ってね。気をつけて帰ってね。」
優しく微笑んでくれるけど、
本当にその笑顔は心からのものなの？
こんな俺で申し訳なくて、
だけど自分でもこの欲求は抑えることができなくて。
「またあの時みたいな顔してる。」
そう言って俺の顔に触れるA。
抱きしめて、耳元で小さく「ごめん」と呟いた。
背中をゆっくりさすってくれる手。
こんなに時間が欲しいと思ったのは初めてだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 445人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
がほ(プロフ) - 癒仁さん» こんにちは^ ^コメありがとうございます！切なくて…キュンとして…少しでもそんな気持ちになって下さったなら、本当に嬉しいです！まだ稚拙な文章ですが、これからも頑張ります^ ^ありがとうございました！ (2017年6月16日 9時) (
レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
癒仁(プロフ) - とっても切なくて、でもキュンとしてとっても面白かったです！！！おつかれさまでした！ (2017年6月16日 7時) (レス) id: cb8edbbef5 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - ritaさん» こんばんは☆コメありがとうございます^ ^次作も頑張ります^ ^ (2017年6月15日 22時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
rita(プロフ) - お疲れ様でした(*´Ｕ`*) (2017年6月15日 19時) (レス) id: 126bc83529 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - tomatoさん» こちらこそ、プロではないし、ただの素人の作品なのに、そんなに褒めて頂いて胸がいっぱいです。本当にありがとうございます。書き終えた安堵感はあれど、すでに妄想に飢えつつあるので…本当にすぐ書き始めると思います^ ^また読んでもらえると嬉しいです^ ^ (2017年6月15日 18時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：がほ
| 作成日時：2017年5月12日 11時
