ベンチ -Jiyong- ページ37
「じゃあ…私はこれで…」
俺が落ち着くまでそばで、ずっと見守るようにいてくれたミニョンさんが立ち上がった。
「あ…やっ、てか、すみません！俺だけ座ってて、地面に…」
俺も立ち上がると、ミニョンさんがクスッと笑った。
「もう大丈夫みたいですね？急に立ち上がったのにフラフラしてないし。」
「あ…」
「誰か呼ばれた方がいいんじゃないですか？コンサート終わって、人も多くなってきてるし…」
たしかに会場からファンの子達が出てき始めて、
バレることを考えたら、マネージャーにすぐ電話して迎えに来てもらった方がいい。
だけど…
だけど、もう少し、ミニョンさんといたいと思ってる自分がいる。
「もう少し人が落ち着いたら連絡します。だからそれまで…もう少し…話しませんか？」
「え…」
小さく驚いて、目を丸くし、固まるミニョンさん。
『可愛い』
多分大半の男なら、今のミニョンさんを見たら思うであろう感情。
同じように俺も思った。
だけどそれだけじゃなく、ミニョンさんを見ていると、心にも体温があるような…胸の中が温かくなっていくような気がする。
それがすごく心地良くて。
温かくなると、柔らかくなって、
固く閉じていた部分の扉が開くのを感じた。
だからミニョンさんの返事は待たず、
再びベンチに座り、口を開いた。
もう何年も人にしてない話。
聞かれても、したくなかった話。
それなのになぜか、どうしてもミニョンさんに話したくなった。
「知ってるかもしれないんですが、俺、過去のある一部分、1人の人間の記憶だけがないんです。」
そう言ってミニョンさんを見ると、
さっきまで驚いてまん丸になっていた瞳が揺れているように見えた。
「隣…どうぞ。話、付き合って下さい。今までこの話は誰にも自分から言いたくなかったんだけど、不思議。なぜか今話したい気分で…」
ミニョンさんを見ながら隣に手を差し出すと、
ミニョンさんがゆっくり隣に座ってくれた。
だから話し始めた。
9年も口にしなかった反動か、口からはあの出来事が溢れる、溢れる。
「別に絶対に思い出したいとか、本当のことを知りたいとか、そんな風には思ってないんです。ただ、さっき話したように、何かのキーワードがひかかって思い出しそうになったり、そういうのがもうずーっとあるから…正直、ずっと過去に囚われてる気がして…」
そう言った瞬間、突然ミニョンさんの目から涙が溢れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 549人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「K-POP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
がほ(プロフ) - ritaさん» ただいまですー(＾∀＾)またボチボチ書き始めますので、よろしくお願いしまーす！！ (2017年4月19日 21時) (
レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
rita(プロフ) - おかえりｯ☆(*´∀`*)ノ (2017年4月17日 23時) (レス) id: 126bc83529 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - まあさん» こんばんは☆更新も滞り、いただいたコメの返信もしないまま、本当にすみませんでした>_<またボチボチ書き出していこうと思ってますので、続きを読んでもらえると嬉しいです^ ^コメ本当にありがとうございました！ (2017年4月12日 23時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - KUMIさん» こんばんは☆更新も滞り、いただいたコメの返信もしないまま、本当に長々とすみませんでした>_<またボチボチ書き出していこうと思ってますので、もしよかったら、また読んでもらえると嬉しいです^ ^コメ本当にありがとうございました。 (2017年4月12日 23時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - まいこさん» こんばんは☆更新も滞り、いただいたコメの返信もしないまま、本当にすみませんでした>_<また書き出していこうと思ってますので、もしよかったら、また読んで下さいね^ ^コメ本当にありがとうございました。 (2017年4月12日 23時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：がほ
| 作成日時：2017年1月23日 1時
