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「Aちゃん誕生日おめでとう
いつもほんまにありがとう⋯!
そして⋯コレ⋯⋯」
紙袋からゴソゴソとなにかを出しながら、
「あんま高いやつ買えんかったけど⋯⋯」
「俺と結婚して下さい」
パッと時計を見ると⋯もう0時を回ってて⋯あぁ誕生日終わっちゃとてんじゃん⋯って。
すっかり自分の誕生日も忘れてたことにガッカリした⋯
目の前の亮の眉毛がぐっと下がってて、じぃーと私を見てる。
正直、プロポーズされた実感は全くなかった⋯
⋯⋯その指輪どやって買ったの?
⋯⋯仕事どうするの?
聞きたいことが山ほどあったから。
なにも言わない私に亮は多分もう限界だったんだろう
「Aちゃん⋯?」
今にも泣きそうな亮の声⋯高校生の時の亮が見たらきっとビックリするだろうな⋯
「ありがとう」
私はそれだけしか言わなかったけど、亮はきっと察しただろうな⋯
「実はバンドもう半年前に辞めててん⋯」
「そっか⋯言ってくれたら良かったのに⋯」
「それで、まぁ働いてて⋯指輪買わなって⋯思って」
「そんなの良かったのに⋯高かったでしょ」
「ほんまはもっといいやつ買いたかったんやけど⋯⋯って⋯返事聞いてもええんかな⋯?」
半年も気づかなかった私、どんだけ亮を見てなかったんだろう⋯
「ごめん⋯私、亮とは結婚できない⋯みたい」
きっと、今日プロポーズされると知ってたら、亮がバンドを辞めたことにもっと前に気づいてたら、考える時間があれば⋯結婚してた⋯かな?
私、30までに結婚したいって、周りにも言ってたな⋯
「あ、そっか。そうやんな。うん。わかってたよ⋯Aちゃん俺のこと好きじゃないんなって⋯けどちゃんと仕事したら、プロポーズしたら、まだ俺のこと見てくれるかなって⋯」
私⋯浮気してた。
夢諦めかけてた亮⋯気づいてた。
夢見てる、バカな亮が好きだった。
私、まともな人は好きになれないみたい⋯。
1年後⋯亮は私じゃない人と結婚した。
バンドは辞めて、普通に働いてるって聞いた。
その2年後、私も結婚した。
亮と別れる前に関係を持っていた人は、既婚者で⋯不倫がバレて奥さんに慰謝料払った⋯
そんな私を拾ってくれた年上の人。
不動産の経営してて、関西弁のどっからみても怪しい人⋯
私は根っから、クズ好きなのかな⋯?
私の青春、亮がいて良かった。
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作者名:七海 | 作成日時:2023年12月5日 11時