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続き ページ12

「Aちゃん誕生日おめでとう
いつもほんまにありがとう⋯!

そして⋯コレ⋯⋯」



紙袋からゴソゴソとなにかを出しながら、


「あんま高いやつ買えんかったけど⋯⋯」










「俺と結婚して下さい」




パッと時計を見ると⋯もう0時を回ってて⋯あぁ誕生日終わっちゃとてんじゃん⋯って。


すっかり自分の誕生日も忘れてたことにガッカリした⋯


目の前の亮の眉毛がぐっと下がってて、じぃーと私を見てる。

正直、プロポーズされた実感は全くなかった⋯


⋯⋯その指輪どやって買ったの?

⋯⋯仕事どうするの?


聞きたいことが山ほどあったから。


なにも言わない私に亮は多分もう限界だったんだろう

「Aちゃん⋯?」

今にも泣きそうな亮の声⋯高校生の時の亮が見たらきっとビックリするだろうな⋯


「ありがとう」


私はそれだけしか言わなかったけど、亮はきっと察しただろうな⋯


「実はバンドもう半年前に辞めててん⋯」


「そっか⋯言ってくれたら良かったのに⋯」


「それで、まぁ働いてて⋯指輪買わなって⋯思って」


「そんなの良かったのに⋯高かったでしょ」


「ほんまはもっといいやつ買いたかったんやけど⋯⋯って⋯返事聞いてもええんかな⋯?」


半年も気づかなかった私、どんだけ亮を見てなかったんだろう⋯



「ごめん⋯私、亮とは結婚できない⋯みたい」



きっと、今日プロポーズされると知ってたら、亮がバンドを辞めたことにもっと前に気づいてたら、考える時間があれば⋯結婚してた⋯かな?


私、30までに結婚したいって、周りにも言ってたな⋯


「あ、そっか。そうやんな。うん。わかってたよ⋯Aちゃん俺のこと好きじゃないんなって⋯けどちゃんと仕事したら、プロポーズしたら、まだ俺のこと見てくれるかなって⋯」


私⋯浮気してた。

夢諦めかけてた亮⋯気づいてた。

夢見てる、バカな亮が好きだった。

私、まともな人は好きになれないみたい⋯。



1年後⋯亮は私じゃない人と結婚した。

バンドは辞めて、普通に働いてるって聞いた。


その2年後、私も結婚した。

亮と別れる前に関係を持っていた人は、既婚者で⋯不倫がバレて奥さんに慰謝料払った⋯


そんな私を拾ってくれた年上の人。

不動産の経営してて、関西弁のどっからみても怪しい人⋯

私は根っから、クズ好きなのかな⋯?


私の青春、亮がいて良かった。

__亮ちゃん(終)→←続き



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作者名:七海 | 作成日時:2023年12月5日 11時

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