恋人までのキョリ (ページ10)

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かげで悪口言われてなくてよかった…。

めったに褒めてなんかくれないですけど？

いや、褒められたことなんかないかも。
舌打ちされたことはあるけど…。

北山さんとおしゃべりしながら明日の準備をする。
すっごいしゃべりやすくてついついしゃべりすぎてしまう。

明日の回る取引先のファイルにサンプル、
先月までのデータを出して…よし。
できた。

横尾さんは全部してくれた上で私が作ってみた書類を添削してくれる。

普通に仕事して私のことお守りしてたら疲れるよね。

厳しくしてくれるのはありがたいけど、
もう少し私の前でも普通に話してくれたらいいのになぁ。

「成見ちゃん、終わった？」

「はい。明日、横尾さんに見てもらわないといけないですけど。」

「早く帰れって。」

「はい。北山さん、遅くなってすいません。
付き合わせてしまって。」

「成見ちゃんは謝らなくてもいいよ。

よこーさんが迷惑かけたなって。謝ってるから。

俺、何にもしてないけど。

じゃあね。
気をつけて帰れよってよこーさんが。」

「ありがとうございます。」

次の日。横尾さんはすっきりとした顔で出勤。

「おはようございます！」って言ったら
今日の眼光は鋭い。光ってる。

「昨日は悪かった。
これ、完璧。ありがとう。」

「…。」

「ぼーっとしてないで行くぞ。」

横尾さん、なんておっしゃった？

びっくりしすぎて声が出ないよ。