恋人までのキョリ (ページ20)

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「寝られないのか？」

「いえ…。」

「じゃあ、寝る。」

「横尾さんは？」

「俺はソファーで寝る。」

「すいません…。」

「毛布と布団出してきます。」

「あるの？」

「はい。母がはじめて来たとき泊まってくれたので。」

「これからはなんかあったら仕事でもプライベートでも頼っていいから。

ま、おまえ、仕事は大丈夫だよな。」

「ありがとうございます…。」

横尾さんがかっこよくて優しくて好きになりそう…。

待てよ。このハイスペックな横尾さんはモテるはず。
もしかして、いや、もしかしなくても私のことなんか1ミリも女として見てないか…。
こんなこと、誰にでも出きるのか…。

そうやって見てたらそんな気がしてきた。

「そんなに見るなよ。やりにくい。
ホットミルク飲む？」

「よこーさん、優しい。」

「よく言われる。」

「やっぱり。」

「なんで？」

「慣れてるから。」

「なにが？」

「弱ってる女の扱い。」

「なんだよ。それ。」

「だって…。優しさがしみわたります。」

「おまえの場合は普段からのギャップだからじゃない？」

「わざとですか？」

「そんなわけねーだろ。俺がしようと思ったのは食べ物届けに来ただけ。

ほんとに動物が好きなだけ。」

「そうですよね…。」

「ちゃんと心配はしてるよ。
いつも元気だから疲れないのかなって。

そしたら、ちょっと疲れてて。

でも、疲れるまでが長くて優しくするタイミング失った。」

「じゃあ、これからは優しくしてくれるんですか？」

「仕事では無理かな。周りからへんに思われるじゃん。

だから、時々飯でも奢る。

あ、おまえがいやじゃなければだけど。」

「いやじゃないです。」

「じゃあ、時々甘やかす。」