4 ページ4
「言っとくけど俺、「好きになられてたから、自分も好きになった」とかじゃないかんね？
初めて話した時から、なんか惹かれんな〜と思ってたし。」
リボンの世界一似合わないほど世界一かっこいい顔がだんだん近づき、私をすっぽりと覆う影ができる。
一方の私は、まさかの情報の連続にキャパオーバー中。
あみこみ、いいなぁ。いいよねぇ。ねー。
なんて現実逃避をしようにも、そんなのお構い無しに迫り来る美の暴力に耐えきれず、思わず顔を両手で覆う。
「ちょっと待って！顔が良すぎる！！」
「やぁだw待たない。」
全力で力を込めて覆っていたはずの腕を、赤子の手を捻るどころか、お人形の手を捻るぐらい簡単そうに外し、そのまま両手を恋人繋ぎするようにさとみが絡みついた。
手の大きさや柔軟剤のいい匂い、声の近さとか、五感で距離の近さを感じとって熱くなった体はさながら、真夏の屋外駐車場に放置された午後3時の黒い車だ。
今すぐにでも、目玉焼きを作れそう。
ちなみに私は目玉焼きは半熟ソース派。卵の黄身にソースをかけて、そこに白身をディップするのが堪らない。
いや、そんなことはどうだっていい。
とりあえず今は、物理的にも目の前の問題を片付けないとだ。
何とか誤魔化さなければ
「好きでしょ？俺のこと。」
「……ｯ好きですよ！大好きですよ！こんにゃろー！！！
どうして諦めようとしたこのタイミングで、そんなこと言ってくるんだよ！」
もう無理だ。好きすぎる。
首をこてんと傾げる姿は「可愛さの権化」と言っても過言ではなく、もう恥も照れも嬲り捨ててにキレ散らかす私に、その元凶は手を強く握った。
「なんでって、他のやつに取られんのがやだったからだよ。
お前こそ、なに俺のこと諦めようとしたんだよ。」
さとみの真っ直ぐとした射抜くような視線に、キュッと心臓が痛くなる。
あぁ、やっぱり私この人のことがどうしようもなく好きなんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
