結城の日記 2 《続》 ページ13
「＿＿そう、僕は雅ちゃんに、嫉妬してたんだ」
耳元でささやかれた言葉に、思わず頷こうとして、ハッとして首を横に振る。
振り返れば、ニヤニヤと笑う親友が。
「や、矢島…なんだよ」
「結城のココロ、アテレコしてみたんだ」
そう言って、フフンと得意げに目を細めてみせる。
「いや…勝手にアテレコすんなよ…」
抗議するけど、何故かニヤニヤ度が増している。
「……ふーん？嫉妬してるのは否定しないんだ？」
「んなっ、！？してないよ！！」
慌てて、声を荒げて反論した僕の額に、牽制するように指を当てながら、シーッ、ともう片方の指を口元に当てた。
「そんな大きい声じゃ、バレちゃうよ？」
見てみれば、雅ちゃんと美夜ちゃんがこっちを見ていた。
美夜ちゃんは不思議そうに見ているから、多分バレてない。でも雅ちゃんは何か悟った様な顔をしている。
その表情、嫌な予感がする。
「雅ちゃん、悪い顔だよねぇ…？何かありそうだね…？」
また耳元で、矢島がささやく。
「あ、煽るなよっ！…」
今度は、声を抑えて抗議する。
「え〜、煽ってないよ〜？」
矢島は相変わらずニヤニヤと笑いながら、そらっとぼけている。
「絶対、煽ったろっ……！ニヤニヤしてるし…！」
「結城が面白いからさぁ…ついにやけちゃって。煽ってないってば。思ったこと言っただけなんだけどなぁ〜？あれ？もしかして、変なこと考えちゃったのかな？」
「んなっぁっ……！！」
勝ち誇った様な顔の矢島に言い返せず、黙って睨みつけると、苦笑いで
「あぁ……ごめんごめん、流石にからかい過ぎたな」
と謝られ、そんなに怒ってないから
「うん、大丈夫」
と答えたら、
「大好きだよ結城！！ほんと大好き！！！」
と、抱きついてきた。いつになくテンション高いなぁと思いつつ、
「く、苦しいよ……」
と、引き剥がす。
「ちょっと〜、男子同士でいちゃいちゃしないの！そろそろ肝試し行くよっ！」
と、声を掛けてきたのは雅ちゃん。
「おぉー、行きますか！」
矢島も、いよいよだ、って感じで僕から離れて、ソファから立ち上がった雅ちゃんの腕をとる。
アイツ、よく海外行くから無意識にあんな行動するんだよなぁ
少しかっこいい、なんて思いながら立ち上がって、玄関まで歩いていたら、懐中電灯取りに戻ってきた雅ちゃんとちょうどすれ違った。
「美夜ちゃん、怖がってるね
チャンスだよ？惚れさせちゃいなよ」
「え？」
予想外の言葉に、思考がストップした
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作者名：月夏 | 作成日時：2018年7月9日 17時
