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結城の日記 1 ≪続≫ ページ3

「おい、結城!華園!ババ抜きするぞ!」

そう言って来たのは、同い年の矢島。

「えっ?ぼ、僕?」

唐突にババ抜きって言われても…僕、参加するなんて言ってないし。

「当たり前だろ?ここに居るんだからよ」

まぁ、そうだけど…

「…なんで私も?」

美夜ちゃんは心底嫌そうに、聞き返している。

「華園も、ここに居るだろ?だったら強制参加だ」

「なんで?そんな強制参加なんて…」

「こっち来い。」

口ごもった僕の腕を持ち上げて、矢島は引きずるようにソファーから遠ざけた。

そして、肩を組む様にして、僕に耳打ちする。

「おい、お前、姉のこと好きなんだろ?」

けなしてるのかと思い、ムッとして、僕は言い返した。

「そうだけど、別にいいだろ?」

矢島はウンウンと頷いて続ける。

「可愛いもんなぁ。だから、俺も考えたんだって。
負けたら罰ゲームとして…

メイド服を着るんだよ。」

「え…」

美夜ちゃんの、メイド服。

想像出来ないけど…

きっと可愛いんだろうなぁ…

「な?いいだろ?」

「うん!いいよ!」

もちろん、即答だ。

ということで、ゲームは始まった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

まさか、こんなことになるとは…

僕が今持っているのは、ハートの3。

そして、向かい側の美夜ちゃんが持っているカードのうち、1枚はハートの3、もう1枚はジョーカーだ。

そして、今、僕のターン。

つまり、ジョーカーを引けば…僕が、ヤバい

男の子なのに、メイド服を着るなんて…嫌だ。

一生残る黒歴史になる。

右か、左か…

右を引こうとした、その時、

「…さっき、なんで私見てにやけてたの?」

唐突な爆弾発言に、右側のカードを掴んでいた手が止まる。

「え?えっ?」

にやけてたの?あの時?
慌てたせいで、二枚とも掴んじゃったけど、それどころじゃない。

美夜ちゃんの顔見てて、ニヤニヤするなんて、
自分で自分が気持ち悪い…

「すっごいにやけてたんだけど?あれ気持ち悪いから辞めて」

「ご、ごめん…」

「あとさ…」

このままだと、いつまでたっても終わらない。

そう思った僕は、掴んでいたカードを一気に引き抜いた。

しかし、重要なことが一つ。

あの時、僕は二枚のカードを掴んでいたんだ。

つまり…僕の手にあるのは、ジョーカーとハートの3。

僕のミスによる、完全なルール違反だった…

ああ、負けた…

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作者名:月夏 | 作成日時:2018年7月9日 17時

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