シャッターチャンス(赤×黄) (ページ34)

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桃side

なんで濱ちゃんはそんなに平気そうなのか分からない。自分の恋は叶わないと言っているようなものだぞ。

「んー、これうまいで」

そんなふうに悩んでる俺とは裏腹に既に話を終わらせてつまみに手を伸ばしてる濱ちゃんを見ると少し寂しそうに見えた。

「おん。…うまいな」

促されてつまみに手を伸ばして口に入れる。それだけで何故か泣きそうになった。

「望…」

心配そうな声が聞こえてハッとする。その声の主は眉を下げに下げてこちらを見ていた。少し居心地が悪くなっているとちょうどいいタイミングでスマホがなった。

「あ、ごめん。ちょっと出てくるわ」

俺はこの場から離れたい一心で濱ちゃんのそう告げ外に出た。

「…淳太やん」

電話の相手が濱ちゃんよりも気まずい人だとは思わずに。戻りたくもないし電話に出たくもない。そう少し悩んでスマホを握りしめる。

「大丈夫。俺が隣におるから」
「へ…濱ちゃん…？」

突然置いてきたはずの濱ちゃんがいつの間にか俺の横に来て頭を撫でてきた。

「淳太は望のこともちゃんと好きやで？望が淳太のことを好きなように」

さっきはあんなに気まずかったのに。今はただ濱ちゃんが隣にいてくれるだけで安心できた。

「…ありがと」

俺はそう言ってから恐る恐る電話に出る。

「もしもし？」
「もしもし、のんちゃん？」

電話の向こうから聞こえてくる声は優しかった。