シャッターチャンス(赤×黄) (ページ22)

今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:40,138 hit

22 ページ22

紫side

淳太を連れ出してタクシーを捕まえる。

「のんちゃんからめちゃくちゃ連絡来とるわ…」

乗ったタクシーの中で淳太はそう言った。見せてもらうと怒ったようなスタンプを大量に送り付けられている。

「あちゃー。今度望にも謝りに行かなあかんな」
「…そうやね」

困ったようにでも逃げる前よりかは柔らかくなった笑顔を見せる淳太。望としげには悪いけれどその表情を見れただけで今回の選択は間違っていなかったと思ってしまう。

「望には俺も一緒に謝ったる」

俺がそう伝えると淳太は意地悪い顔をした。

「しげには？」
「行かへんわ(笑)」
「えー…なんでなん…」

俺の答えは分かっていたはずなのに分かりやすく落ち込む。こいつはほんま…。と思いながらも可愛いと思ってしまうのは惚れた弱みとでも言うのか。

「しげちゃんとはしっかりふたりで話さなあかんやろ」
「…おん。そうやな」

嘘。2人で話さないで。
望の恋を応援しているのは紛れもなく淳太の恋を邪魔したいからなんてそんな最低なこと誰にも言えない。俺は今日もこの気持ちを隠して淳太の背中を押す。

「大丈夫やから。淳太が思っとるより悪い方向にはいかんよ」

だってそう言えば淳太は可愛い顔を見せてくれるから。

「どっから湧いてくるん、その自信。…せやけどありがとう」

あー、甘いな。単純だな。
しげちゃん関連でしか見せないその笑顔を見れただけで俺の恋は叶わなくてもいいと思うのだ。