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黄side
東京についてのんちゃんに連絡する。俺の心はぐちゃぐちゃだけれどそれを理由にのんちゃんの相談を蔑ろになんかしたくなかった。
今から向かうといったメールが来たので降りた駅の外で待っているとパシャリとどこかからか音が鳴った。
「…ぇ…」
音の根源に目をやるとそこには。
「撮ってもうた」
今一番会いたくない彼がそこにいた。
「しげ…?」
「そうやで?」
そう言って近づいてくるしげとは逆に後ずさる俺。
「…?…淳太?」
そんな俺を見てか悲しげに俺の名前を呼ぶしげに心がまたぐちゃぐちゃにされる。
「ごめん、ほんまにごめん」
「淳太!?」
俺はその場にいたら心ごと潰されてしまいそうで謝りながら逃げ出した。
「はあっ、は、」
綺麗な桜並木を走っていく。運動が出来ないなりに必死に。
「はあっ…」
もうしげが見えないことを確認してその場にしゃがみこんだ。
「はぁっ…何しとるんやろっ」
震える声でそう呟いた。
人通りが少なくてよかった。多かったら邪魔になっていたから。のんちゃんに謝らな。着いたら俺がおらんとか最低すぎる。せっかくこっちに来てくれるのに。
そんなことを頭の中に巡らせながらも溢れ出る涙は重力に従って落ちていった。
しげから離れて数分経ち、冷静になった俺は立ち上がり近くのベンチに座った。
「あーあ…」
ほんまアホちゃうか…。
無理だとか言っときながら心のどこかで期待して。週刊誌に撮られたら裏切られたと癇癪を起こすなんて。勝手すぎる。情けない。
俺はまだ流れそうになる涙を抑える為に上を向いた。
「やっぱり淳太や」
そんな俺の顔を覗き込んできたのは突然現れた友人だった。
「…濱ちゃん」
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作者名:年長さん | 作成日時:2023年3月25日 1時