真っ赤な手錠。 ページ13
Aside
…ここ、どこ？
気が付けば私の目の前には一面真っ白な世界が広がっていた。
『だれかいないのー？』
とっさにそう叫んだのだが、返事はない。
そして、叫んでみて初めて自分自身の変化に気づいた。
…あれ、声がいつもより高い。
それに目線もいつもより低い気がする。
…もしかして私、小さくなってる？
確かに、自分自身の体を見渡すと
今は短く切りそろえている髪も、昔のような長い髪になっていた。
…なんだ、夢の中か。
しばらく自分自身の変化に驚いていたが、結局そんな答えにたどり着いた。
何でこんな夢見てんだろ、と考えていると
誰かの気配が後ろの方からして、私はﾊﾞｯと振り返った。
そこにいたのは
真っ赤な手錠でつながれて、倒れている私自身だった。
猫のように丸めた体。
固く閉じた瞳。
【そこにいる私】は眠っていた。
そこにいる私。
それは純粋な私だった。
無邪気な、ただの普通の子供だった頃の私。
…私自身が殺した【私】。
私はあの日から。
真実を知った日から、その事を誰にも悟られないように
沢山の嘘をついた。
ママへの嘘。
ハウスの皆への嘘。
…自分自身への嘘。
私は自分自身をありもしない言葉で
自分をコントロールするようになった。
…私は自分自身を偽って、演じてきた。
何も知らない、明るくて無邪気な危険のない子供を。
【無知で無力なただの子供】を。
それと同時に捨てた。
本当の自分自身を。
目の前にいる``私``の自由を奪っているあの真っ赤な手錠は、他でもない私自身がつくったものだ。
``真っ赤``は偽り、そして【嘘の色】。
私は本当の【私】を嘘で縛り付けてるんだ。
そのおかげか、ママは私の事を【絶対に制御できる子供】として見てる。
ママは完全に油断してる。
…これで準備は整った。
そう思い、もう一度目の前にいる【私】を見ながら考える。
…これでいいんだ。
私自身の意思なんて、この際どうだっていい。
なりふり構ってる暇はないんだ、と。
決心したその時だった。
『＿本当にそれでいいの？』
もう一人の【私】の口が確かにそう動いた、
そこで私の意識は途絶えた。
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紅華 - 面白いです！更新待ってます！ (2020年6月15日 19時) (
レス) id: 7b082dad3b (このIDを非表示/違反報告)
えのきの里(プロフ) - 外すの忘れちゃってました…わざわざ教えていただきありがとうございます！ (2019年3月21日 19時) (レス) id: 5e9c55c38c (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年3月21日 19時) (レス) id: c596c0896b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えのきの里 | 作成日時：2019年3月21日 19時
