陸 失くしたくない物 ページ7
それから土方さんから聞いた話によれば、私達は恐らく丸一日くらい眠っていたらしい。通報を受けてから、特定するのに時間がかかったそうだ。ただ今、時刻は午前10時。
現代の特定班がいればなぁ……
「あれ……そういえば…」
私の、鞄……どうしたっけ……
万事屋に来た時はあったのに……色々あったから、覚えてない……どうしよう………
あれには…大切な……
あれだけは無くしたら、、、、
「春村さん、まずは部屋に案内しまさァ」
「沖田さん……私ちょっと用を思い出して、すぐに戻ってきます」
「…ちょっと、春村さん!駄目でさァ!!まだ、体調が………」
「すぐ戻ってきます!」
春村さんは、俺の手をすり抜けて行ってしまった。
力が緩んだんだ。
目尻に涙が浮かんでいることに気付いたから。殺されかけて、泣かないのに一体どんな用事だってんだ
私はひたすらに走った。場所が分からないから人に尋ねて、尋ねて。でも、知っているという人と中々出会えない。
万事屋さんに、あるかもしれない……この世界に来た時に持っていたのは何故か覚えているから。
公園のベンチに座り込んだ私は、もう顔を上げる余裕がない程疲れきっていた。
さっき沖田さん、言ってたっけまだ体調がって。
睡眠薬みたいなものを飲まされたんだろう。
「ふっ………ずっ……」
見っともない。泣くなんて。
強くならないといけないのに……また、迷惑をかけて人を不幸にしてしまうの?
『お前さえいなければ。私はお前を心底憎んでいるよ。お前なんかが幸せになれるはずがないんだ』
忘れたい、消し去りたい辛い記憶。
冷たい風が吹き、黒雲が空を覆う。
ポツポツと降り出した雨は次第に強くなる。
………あっ…雨……
運良く、屋根付きのベンチだったから雨は凌げる。
どんどん周りにいた人達はいなくなっていく
丁度いいや……泣き顔なんて、誰にも見られたくないから。
涙は留まることなく、逆にどんどん溢れ出してくる
こんなに泣いたのは久しぶり。
何を求めて私は泣いているの?幸運?幸せ?
ううん………
「すごい雨ですね」
「…えぇそ……沖田さん?!まさか…私を?」
「そうって言ったら怒りやすかィ?」
「すごいびしょ濡れ……私、すぐに戻るって…」
「戻らなかったでしょ?」
「……ごめんなさい……まさか、沖田さんが来てくれるなんて…思わなくって…迷惑かけて…」
違う……誰かに側にいて欲しいんだ
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千の歌を歌う人(プロフ) - コロさん» 有難きお言葉です!!すごく嬉しいです!頑張ります!! (2019年7月30日 0時) (レス) id: 1dfb43aa3f (このIDを非表示/違反報告)
コロ - おもしろいです!!更新忙しいかもしれないけど頑張って下さいね!! (2019年7月29日 22時) (レス) id: 21d6130453 (このIDを非表示/違反報告)
千の歌を歌う人(プロフ) - サラダ油さん» ぱっちゃんはですね、主人公が付けたあだ名です!主人公は色んなあだ名を人に付けるもので…見てくれて、物凄く嬉しい限りです!!頑張ります! (2019年7月29日 20時) (レス) id: 1dfb43aa3f (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - 新八は「ぱっちゃん」じゃなくて「ぱっつぁん」と呼ばれてますよ。面白いのでこれからも頑張って下さい! (2019年7月29日 18時) (レス) id: 3eb4c4dfa2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くれの | 作成日時:2019年7月24日 22時