残念ながら凡人でした 【銀魂】【沖田総悟】

参拾 残業は嫌だ ページ31

「ふぁああ……かったりィ…眠ィ…」

「…まさに自業自得ですよ。はいお茶どうぞ」


机に積まれたたくさんの始末書。まぁいつも街も屯所も破壊してるから……
さっきも私の部屋の襖を破壊したんです、この人。
お茶は空いてるとこに置いた。


「お前ィさ、ここ誰の部屋か分かってる？」

「えっ……総悟さんの部屋…？」

「……警戒心なさすぎ。夜に男の部屋ほいほい入るもんじゃねェでさァ」

「でも、頼んだのそちら……それに！！私、24時間警戒モードなもんで」


あれじゃないよ。
目からビームが出るあれじゃないよ。
あれじゃないからね。


「……警戒モードの割にはすぐ捕まりやしたね」

「ちょっと！引っ張らないでください！！
うわぁ！！……痛たた………って近っ…」


うっわぁ笑ってるよ…お得意の黒い笑顔で。
やっぱりからかわれてる…元から赤くなりやすいのに……無理だよ…この至近距離は。
ドクンドクンと心臓が早く脈を打つのが分かる。
きっとこの人は気付かない……私の気持ちに。
視線が合わせられなくなって、声が上手く出せない






「からかってますよね…」

「さァどうだろうねィ」


眠そうな目が、少し潤んでいる。拗ねたのか俺の方を見ようとしない。
俺はガキなんざに興味はねェが、こんな男だらけの場所なんだ。………イラつく。
いつも自分のことより他人のことを楽しそうに話す
俺だけに懐く犬になればいいのに。


「……な…なぬっ！！」


こいつの頰を両手で潰すと変な声を出す。
……なぬってなんだよ。女子ならもっとこう…


「あははは！面白い顔してんぞ、タコみてェ」


ははっ、耳まで赤くなってやがらァ
一瞬目が合うとばっと逸らされる。


「総悟さんだってタコみたいな……瞳してるじゃないですか！」

「俺も嫌いでィ。こんな赤いの。まぁお前ィは海藻みたいな色してっけど」


わざと傷付いたかのように見せると、合わなかった視線が合うようになった。


「いや嘘です！！羨ましいです。透き通った綺麗な赤まるでルビーのような。もしいらないんでしたら、私に……なんて……すぅ…すぅ…」


毎日朝早く起きて、怪我治るまでは試合を見ているせいなのか、眠ってしまった。
前後に揺れる身体に腕を回す。
一生守ってやるよ、なんてそんなくさい言葉は俺の柄じゃない。




「例えお前に嫌われようと、俺は…」




そして、いつも笑ってくれたら。

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