. 燈火 2 (ページ7)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:40,733 hit

. ページ7

「えっと…また集まって頂いた理由は他でもなく俺達の事でありまして…」

会議室、その中でメンバーがいて、
前々から仲の良い医師から聞かされていた社長と社長づてで聞いていたマネージャーが緊張した面持ちで座っている
みんな俺達の方を見て、今か今かと放つ言葉を待っていた

「…俺、妊娠しました」

その一言で、パッとみんなの顔が明るくなった
その場は拍手で包まれて、おめでとうと祝福の声が飛び交った
社長も嬉しそうに俺を見て祝福の言葉を述べた

「だから、最近体調が優れないこともあって

仕事に支障をきたさない様に頑張っていくので

頼りない最年長で申し訳無いけど、よろしくお願いします」

「それはいいとして、休まなくていいの？」

「取り敢えずあんまり激しくないパフォーマンスは出来るから、様子見て、担当の先生とも話し合って決める予定です」

そっかと嬉しそうに目を細める山田
大ちゃんや知念は俺のお腹を撫でながらいつ動くのかな〜？と名もない俺達の子どもに声を掛けている
裕翔は写真を撮って大騒ぎしているし、
髙木や圭人もよかったね〜と話し掛けてくれた

こんなに俺達の私情の話に声を上げて心から喜んでくれる仲間がいて、すごく嬉しくなる

俺、こんなに恵まれちゃってていいのかな

「あれ？薮くん泣いてる〜！！」

髙木がみんなに聞こえる声で騒いだお陰でみんなが寄ってたかって俺をいじった
目にゴミが入っただけ、とかあくびが出てとか言っても何も通用せず、光からも何泣いてんだよバカ〜！と言われる始末

「待って待って、お前が何泣いてんだよ！」

光の声で指差す方を見ると、圭人が当の本人達よりも号泣しながらだってぇ〜…と話している

「薮くんと光くんが結ばれたことも嬉しいけど、二人の遺伝子から生まれる赤ちゃんが出来たってもっと嬉しいからっ！」

メンバーがうんうんと頷く
みんな目には少し涙を溜めていて、よくわからない光景が広がっている
何でこんなにみんなが自分の事のように涙を溜めて喜んでくれるんだろう

「グループを大きい背中でひっぱってくれたふたりが…結婚して、子供を産むんだよ
みんな嬉しいんだよ、自分の事みたいに」

メンバーが万歳三唱する
拍手喝采、多大なる祝福で報告も幕を閉じ、各々の仕事に向かう

今日は俺は午後から個人でサッカーの特番の収録がある
光も番組収録があるらしく、帰宅は深夜になるかもしれないという

「じゃあ」

「また後で」