全てを犠牲にして【黒バス】 (ページ46)

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「っはぁぁぁ、ん。」

苦しい胸を押さえしゃがみこむ。
過呼吸？
えっと、息を吸う事だけを意識する。

すぅー、はぁー。すぅー、はぁー。
ちょっとは落ち着いてきた。でも、やっぱり苦しい。大丈夫、大丈夫。暗示をかけようとその言葉を頭の中で繰り返す。けど、出てきた言葉は違った。

「なんで、スケートさせてくれないの。いいから、別に寿命縮まったって。だから、さっさと許可してよ。恋愛だって自由でいいでしょ、何で一々許可とんなきゃいけないの！？家のため家のため、うるさいな。こっちだって協力してるよ、理解してるよ自分の立場ぐらい。だから、最低限のことはするから自由にさせてよ！ああ、もう！！！」

「我慢してたら、ストーカーとかしてきて？襲われそうになっても、有名税とか言われて？意味分からない。あいつらなんかは、居なくなればいいのに！！そうよ、そもそも犯罪だって・・・。」

「なにも考えずに生きたい・・・。」

気付いたら涙がボロボロと溢れ出ていた。自分の気持ちを吐き出して楽になった。気配を感じて後ろを振り返ると彼が戸惑うように私を見つめていた。

あ、聞かれてました？
落ち着きを両方共に取り戻し、寄り添うように椅子に腰をおろす。

「A、さっきは悪かった。失うことに覚悟を持てというのは当然の事なのにとっさに返事が出来なかった。不甲斐なさを感じたよ。」

別にいいよ、それくらい。
少しだけ、肩によりかかる。

「俺はそれらを統合してお前とずっと一緒に居たい。さっき言っていたことなど問題にもならん。改めて結婚しよう？」

「私、征十郎以上に良い男を知らない。今後もきっと。だから、あなたと共に居たい。ふつつかものですが、私でよければ。」

彼の手に、自分の手を重ねる。
あぁ、自分の思いを話してもいいんだと心底、安心した。安らぎは、結構近くに存在していた。