梟谷エース ページ40
音駒の方々がいた部屋を出て、シンとした廊下をぺたぺた歩く。外は真っ暗闇だし、なにかでそうだなぁ、なんてぼんやり思う。
『 …喉乾いた』
廊下の窓の向こう、真っ暗闇。それを見ていたら無性にあの黒色の炭酸飲料を飲みたくなった。
そして、自分が寝泊まりする部屋とは逆方向にある自販機に向けて歩き出した。
『 ……。』
『 ふ、ふふんふーん…』
なんて恐怖心を紛らわせようと鼻歌を歌いながら歩く。
正直に言えば、怖くなったのだ。自販機へと向かう廊下は蛍光灯がついていなくて暗いから。
幽霊を信じるかどうかと聞かれたら、信じないと真っ先に答えられる自信はある。非科学的なものは信じない質だし…と言いたいところだが、この目で見て確信を得たいというのが本当のところだ。
…ま、一生見たくもないのですが!
首からぶら下がるカメラのベルトをぎゅっと掴みしっかり廊下を踏みしめる。
ぺたぺたぺたぺた…
足音が聞こえる。
それは私がさっき出していた足音に似ているが、今私は廊下を踏みしめて歩いているのだ。ぺたぺたと軽い音はしないはず。つまり、誰かの足音。
そう言えば前に見たことあるなぁ、こういうホラー映画。
振り向いたら終わりなやつ。今日が人生初の幽霊とのご対面なのかな?ここでやっと確信を得ちゃう感じなのかな?
取り敢えず逃げよう。走ろう。全力一ノ瀬ダッシュだ。
一生懸命、腕と足を動かす。だが忘れてもらっては困る。私は文化部だ。これが意味するものとは言わなくてわかるだろう。
そして、背後から聞こえてくる足音は徐々に近づいてくる。私は走っているのだ。それなのに音が近づくって…
考えたらゾワっとした。冷や汗か首筋を伝う。手と足が急激に冷たくなる。
無我夢中で走っていると光が見えた。
…自販機だ。ここで後ろを振り返れば追いかけて来ているのがなんなのかが分かるだろう。幽霊の場合振り返ったら一巻の終わりだと相場が決まっている。
けれど私は自分の目で見ない限り幽霊を信じるつもりは無い。…と言いつつ足はガクブルなのだが。
自販機まであと一歩。
きっ、と走る足を急止して振り返る。
『 「わぶっ!?」』
何かとぶつかった感覚がした。
ふわりといい香りが漂った。
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作者名:人畜無害。 | 作成日時:2017年10月20日 20時