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『フロイドさん……!』
「シロイルカちゃん、遅くなってごめんねぇ。……俺はこいつらとオハナシがあるから、アズールたちのとこ行ってな」
横から伸びてきた手はフロイドさんのもので。
ぐいとフロイドさんに抱えられ、私は先輩たちから離される。気持ち悪かった手が離れ、悪寒も止まった。
フロイド先輩は、私の頭を撫でて背中をゆっくり押した。
それに頷いて、厨房へと向かった私は気付いていなかった。フロイドさんが、とても怖い顔で先輩たちを見つめていたことに。
「……あぁ、Aさん。すみません、僕が付いていればこんなことには」
『……!ジェイドさんのせいじゃない、です!』
厨房へ向かうと、ジェイドさんが私に走り寄って頭を下げた。
私は慌てて首を振って、ジェイドさんの言葉を否定する。ジェイドさんは、悪くない。
私たち二人の話を聞いたアズールさんは、申し訳なさそうに笑って。
「迷惑代として、少し多めにお給料を出しておきますね」
『……ありがとう、ございます』
素直に頭を下げれば、アズールさんは「良いんですよ」と言った。
……フロイドさんが、中々帰ってこない。
大丈夫、なんだろうか。そう二人を見上げると、二人は困ったように頰を掻いた。
「寧ろ、あの人たちの方が……大丈夫でしょうか」
「それは僕にも分かりかねます。何せ、滅多にないほどの怒りでしたので」
目配せをしあった二人は、苦笑してそう溢した。
取り敢えず、フロイドさんは必ず大丈夫だそう。
そのことに良かったと安堵の息を吐いて、その場にへたり込む。……自分でも少なからず、怖かったみたいだ。
急に私の力が抜けたことに、二人が驚いた顔をして。慌てたように私に駆け寄り、ゆっくりと身体を起こしてくれた。
『すみません、少し力が抜けて』
「それは構いませんが。……ラウンジのバイト、どうしますか?」
『……え?』
アズールさんは、私を見て困ったように眉を潜めた。
首を傾げると、驚いたように告げられる。
「だって、怖い思いをしたんです。もう働きたくなくなったでしょう?」
そう落ち込んだように私を見つめ、アズールさんは笑った。
その言葉を首を振って否定する。……確かに怖かったけど、守ってもらえたから。
そう言うと、アズールさんは「……そうですか」と呟いた。
「では、引き続きよろしくお願いします」
働かざるもの食うべからずーー完ーー。
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桜夏幹(プロフ) - とても好みだ。に私まで落ちました。(勿論、心の中でとどめてます。主人公は夢主さんですから^^ (2023年4月11日 10時) (レス) @page8 id: 3d710f5422 (このIDを非表示/違反報告)
桜澤(プロフ) - エースが優しいの結構すきだなぁ……オール好きだけど。この優しさ大優勝 (2021年4月17日 3時) (レス) id: 20b9b01cf5 (このIDを非表示/違反報告)
桜澤(プロフ) - 季節の変わり目は……私も体調よく崩すので……小言で……羨ましいっ///// そして、可愛い!!川?って言ってったけど……違う!そうじゃないww (2020年11月26日 9時) (レス) id: 20b9b01cf5 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - むゆ。さん» いえいえ、お話できて楽しかったです (2020年10月23日 19時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
むゆ。(プロフ) - printemps(プランタン)さん» ですね……笑 ご丁寧にありがとうございました! (2020年10月23日 19時) (レス) id: 38565869ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ鍋 | 作成日時:2020年10月12日 0時