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「毎日、一生懸命に勉強頑張ってるだろ?」
カリムさんが笑った。その笑顔が眩しくて、羨ましいと感じてしまう。
……どうして、こんなに明るくいられるのだろう。
そう思いながら、私は小さく首を振る。
『……勉強は、しないとついていけないから』
「でも、ついていこうと頑張ってるのが凄いと俺は思うぞ。それに、その内容を定着できてるのも」
内容を定着。
首を傾げながら呟くと、カリムさんは「あぁ」と頷く。
私の隣にゆっくりと座って、「俺なんか」と話し始めた。
「勉強しても、なかなか頭に入らないってことが多くてさ。テストの点も、全然取れなくて。……その分、Aは凄いだろ?」
少し悲しそうな顔をしたカリムさんに、私は急いで首を振る。
そんなことない。カリムさんだって、充分凄いところがあるのに。
『カリムさん、も。凄いところ、ありますよ』
「!そう、か?なんか、そう言われると照れるな!」
隣を見ながらそう言うと、カリムさんが少し頰を染める。
照れたように頰を掻いて、カリムさんは視線を宙に彷徨わせた。
それから、また私をじっと見つめてカリムさんが口を開く。
「この間のテスト、上位三十人に食い込んだって話してただろ?凄いなーって、ずっと思ってたんだ」
『勉強、いっぱいしたから』
「やっぱり俺ももっと勉強したほうが良いかなぁ」
『でも』
カリムさんが、小さくため息をついた。
その言葉を遮るように話すと、オレンジのような赤のような。そんな目が私を見る。
『カリムさんも、充分に頑張ってる……と思います。その、無理しすぎる必要は……ないんじゃないかな……と』
「……そっか。俺頑張ってるように見えるか?」
『……?はい』
合同授業で一緒になるカリムさんは、分からないことがあると直ぐに人に聞く。
分からないことを恥ずかしいと思わず、素直に分からないと言えるのが。
凄いなぁ、って思ってた。
それを包み隠さず伝えると、カリムさんは目を丸くさせて。それから顔を真っ赤にさせてしまった。
「……そう、か」
小さな声でそう呟くカリムさんに、何か恥ずかしいことを言ってしまったのでは?と不安になる。
だけど、そんな心配はなかったようで。
次に顔を上げたときは、カリムさんは何だかすっきりとした表情を浮かべていた。
「なんか、俺が励まそうとしたのに逆に励まされちゃったな!」
『いえ。嬉しかった、です』
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桜夏幹(プロフ) - とても好みだ。に私まで落ちました。(勿論、心の中でとどめてます。主人公は夢主さんですから^^ (2023年4月11日 10時) (レス) @page8 id: 3d710f5422 (このIDを非表示/違反報告)
桜澤(プロフ) - エースが優しいの結構すきだなぁ……オール好きだけど。この優しさ大優勝 (2021年4月17日 3時) (レス) id: 20b9b01cf5 (このIDを非表示/違反報告)
桜澤(プロフ) - 季節の変わり目は……私も体調よく崩すので……小言で……羨ましいっ///// そして、可愛い!!川?って言ってったけど……違う!そうじゃないww (2020年11月26日 9時) (レス) id: 20b9b01cf5 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - むゆ。さん» いえいえ、お話できて楽しかったです (2020年10月23日 19時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
むゆ。(プロフ) - printemps(プランタン)さん» ですね……笑 ご丁寧にありがとうございました! (2020年10月23日 19時) (レス) id: 38565869ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ鍋 | 作成日時:2020年10月12日 0時