醜い少女 4 【短編集】【ツイステ】

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A.T




さて、今日の体力育成のメニューは箒に乗ってどれくらい飛べるか。


Aはユウに任せ、俺らはバルガス先生の元へ集まる。


集まった俺らを見渡して、バルガス先生は説明を始めた。








「……と、デュース。負けた奴がジュース奢りな？」


「ふん、負けるわけないだろ」




バルガス先生の説明から解放され、俺らはそれぞれ箒を手にする。


隣に立つデュースに提案すると、何やら勝ち気な台詞が返ってきた。


俺らは顔を合わせ笑い合い、バルガス先生の掛け声で一斉に飛ぶ。


ふわりとした浮遊感と、少し危うくなるバランス。


箒をしっかりと持って立ち直せば、近くにジャックたちも集まってきた。




「なー、今さ負けた奴が奢りってゲームしてるけど。お前らもやる？」


「やりたい！……かな」


「別にやっても良いぞ」


「ふん。そんな下らない遊びをする暇があるならだな」


「セベクはやらないのかよ」


「やるに決まっているだろう」


「なんだよお前」




高すぎず、低すぎず。


ちょうどの位置で、俺らはゆっくりと浮かぶ。下の方では、アズール先輩が地面から五ミリ程の位置で浮いていた。


リーチ兄弟はもう落ちたらしく。「頑張れ、頑張れ」とアズール先輩を応援している。


……箒を浮かしている、というのは少し暇なものだ。


魔力を一定に注ぎ続ければ良いのだから。……あ、デュースがバランス崩した。




「ぅ、わ……！？」


「デュース選手、一番に脱落してしまうのか。お母さんに語った夢は、破れてしまうのか」


「脱落していないし、母さんにそんな夢を語った覚えもない」


「ちぇ、持ち直しやがった。つまんねーの」




落ちかけたデュースの側に行って、からかって遊んでいたときのことだった。


下から、ユウが俺を呼んだのは。




「エース、降りてきて！」


『……っ、ぅ』




今にも泣き出しそうなAを抱え、ユウは俺を見上げる。


その様子に、何かあったのかと心配になった俺は、すぐに箒を下に向けた。


自分が出来る最高の精密さで、ゆっくりユウたちのところに降りる。




『……に、いちゃ……っ』


「おっと。……何、どしたの？」


「起きたらエースが居なかったから、寂しかったみたい」


『どこ、行ってたの……っ』




そう俺の胸に顔を押し付けるA。


……やっぱり、ちょっと精神年齢が幼い……か？


過去の映像は、普通に見えたけど。


あの状況で育てられたら、まぁそうなる……か。

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