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第39話 犯人確保 ページ41

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「いくらこの街でも素人が銃弾を補充するのは容易じゃない。官給品の銃であれば尚更。彼は考えている最中だよ、減った3発分の銃弾についてどう言い訳するかをね」

楽観した云い方で事実を述べる乱歩とは裏腹に、杉本の表情は焦りそのものだった。
――図星だ。そこまで見破れてはひとたまりもなかったのだろう。上司に助けを求めることもできず、ただただ時間だけが過ぎていく。しかしそんな沈黙を破ったのは、やはり箕浦だった。

「オイ杉本! お前が犯人の筈がない、だから早く銃を渡せ!」

相当部下を信頼しているのだろうか。それとも自分の部下が、杉本が犯人であってほしくないという一心で言葉を投げ掛けているだけか。恐らく両方だろう。

「マズイ」

皆に現状を伝えるように、太宰が云った。正気を失った人間のとる行動は特に恐ろくはかりしれぬことばかりで、杉本自身もこの瞬間、自分が自分で無い気がした。
杉本が銃を構えた。残っている銃弾を乱歩目掛けて撃つつもりなのだろう。そんな不意打ちを仕掛けて一体何になるというのだろうか。そして、太宰のとった行動は……。

「行っけえ、敦君!」

「え!?」

止めろ! 箕浦が声を荒げたと同時に、勢い余って敦が杉本に飛び出していった。
正確に云えば敦は、太宰に思いっきり背中を押され、その衝撃で杉本の方へ飛び出してしまっただけなのだが。うつ伏せにさせ、身体を地面に押し付けた状態で取り押さえることができた。

「お、やるわねぇ」

「離せ! 僕は関係ない!」

力ずくで敦の拘束から逃れようとする杉本にそっと駆け寄って、脅しのように乱歩が云った。

「逃げても無駄だよ。犯行時刻は昨日の早朝、場所はここから140米上流の造船所跡地」

「なっ何故それを……!」

「そこに行けばある筈だ、君と被害者の足跡が。消しきれなかった血痕も」

「どうして……バレるはずないのに……」

続きは職場で聞こう、お前にとっては元職場になるかも知れんが。そう云った箕浦の片手には既に手錠を用意されていた。

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綺羅(プロフ) - 太宰さんは、スカートなのですか? (2017年1月3日 10時) (レス) id: ba54971924 (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 奈江さん» いえ、改善点を見つけられたのでこちらこそありがとうございました。 (2016年7月24日 23時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
奈江 - 確認しました。 わざわざ訂正ありがとうございます。お手数おかけしましてすいませんでした (2016年7月24日 23時) (レス) id: c67595ed82 (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 奈江さん» 第1話だけ編集してみたのですがどうでしょうか(^^; (2016年7月24日 22時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 奈江さん» お時間取らせてしまうかもしれませんが、できる限り改善したいと思います。教えてくださりありがとうございました! (2016年7月24日 22時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:パティー | 作成日時:2015年11月2日 19時

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