第38話 超推理 ページ40
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「敦君、よく見ておきなさい。探偵社を支える能力よ」
乱歩の異能『事件の真相が判る能力』のお披露目というわけだが、果たして本当にそんなものがあるのかと、敦は未だ信じきれずにいた。
それもそうだろう。箕浦の云う通りそのような優れた力があるのであれば、まず刑事の存在自体が不要であろう。乱歩が神か何かかもしれない、というのも冗談でなくなる。そして乱歩が眼鏡をかけた刹那、とてつもない緊張感が漂った。
異能力――『超推理』
「……な・る・ほ・ど」
「犯人が判ったのか」
「勿論」
「くくっ、どんなこじつけが出るやら」
犯人は誰だ? 箕浦が問えば、乱歩は躊躇うことなく目の前の人物を。
「犯人は君だ」
杉本を指さしてそう云った。
「おいおい、貴様の力とは笑いを取る能力か? 杉本巡査は警官で俺の部下だぞ!」
しかし、いくら箕浦が否定しようとも乱歩の意見は変わらず、杉本巡査が彼女を殺したと断言した。箕浦が、大体こんな近くに都合良く犯人が居るわけないと反論したところで、乱歩は一切耳を傾けなかった。
「犯人だからこそ捜査現場に居たがる。それに云わなかったっけ?『どこに証拠があるかも判る』って。拳銃貸して」
「ば、莫迦云わないで下さい! 一般人に官給の拳銃を渡したりしたら減棒じゃ済みませんよ!」
「その通りだ、何を言い出すかと思えば……探偵って奴は口先だけの阿呆なのか?」
その銃を調べて何も出なければ僕は口先だけの阿呆ってことになる。乱歩がそう云えば、箕浦は、貴様の舌先三寸はもう沢山だと呆れたような口振りで云った。
「杉本、見せてやれ」
「え? で、ですが」
「ここまで吠えたんだ。納得すれば大人しく帰るだろう。これ以上時間を無駄にはできん。銃を渡してやれ」
「………」
「おい、どうした」
杉本は黙ったまま下を向くだけで、その場から一歩たりとも動こうとはしなかった。そしてどういうわけか、仄かに汗が滲み出ているのがわかった。杉本の様子をひっそりと伺っていた太宰はそろそろかしら、と瞬時に警戒態勢に入る。
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綺羅(プロフ) - 太宰さんは、スカートなのですか? (2017年1月3日 10時) (レス) id: ba54971924 (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 奈江さん» いえ、改善点を見つけられたのでこちらこそありがとうございました。 (2016年7月24日 23時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
奈江 - 確認しました。 わざわざ訂正ありがとうございます。お手数おかけしましてすいませんでした (2016年7月24日 23時) (レス) id: c67595ed82 (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 奈江さん» 第1話だけ編集してみたのですがどうでしょうか(^^; (2016年7月24日 22時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 奈江さん» お時間取らせてしまうかもしれませんが、できる限り改善したいと思います。教えてくださりありがとうございました! (2016年7月24日 22時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パティー | 作成日時:2015年11月2日 19時