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遂に夜が訪れた。
こっそり銀の耳飾りを外しシャンパングラスに浸す。
変色はなし、曇りなし、匂いも異常なし、指先に一滴落とすが異常なし、口に含むも痺れなし。
「ジョジョ、ここのシャンパンに異常はありません」
「グラッツェ」
周りへの警戒を怠らない。
一人一人挨拶に近付いてくる人物が現れる度ジョジョに耳打ちをする。
ミスタは信用ならないからな、失礼だが。
「彼はこの街の商店の会長のルアード、そして隣の...隣?」
あの男の横の少女は誰だ。
恐らく歳は僕らと近いと見られる、親子か?
だが彼女は...
「おいおいどういう事だ、ファイルに載っていなかったぜあの女」
「嗚呼僕にも記憶にない...!ジョジョ、これは一体...」
「...まずは挨拶が先だ、いこう」
ニッコリ営業スマイルを浮かべジョジョはルアードへ近付く。
「ボナセーラ、ルアード様。
今晩はこのパーティーにご参加下さり誠にありがとうございます」
「ボナセーラ、ジョルノ・ジョバァーナ殿。
こちらこそご招待下さり光栄に思います」
「ええ、あの失礼ですがそちらの女性は...」
「嗚呼、こちらは私の娘のソフィアだ」
「ボナセーラ、ジョルノ様。
以後お見知りおきを」
「え、ええ」
ジョジョは全く招待した記憶が無いらしい。
驚きの困惑顔である。
一方の彼女はとても麗しい笑顔だ。
たっぷり光を蓄えた艶のある向日葵の花弁色の髪は腰までの緩やかなウェーブ。
コーラル色の大きなアーモンド型の瞳は緩やかに孤を画いていた。
...心做しか視線は僕に向いている気がするが。
視線を泳がせミスタを見れば憐れみの笑。
巫山戯るな、その笑いを消せむかっ腹がたつだろう。
そんな目のやり取りを続けていると不意に彼女が言った。
「所で後ろの彼はなんて言うのかしら」
「これ、ソフィア!失礼であろう」
見え見えだ。
この男、ジョジョに娘を紹介する気満々だ。
ミスタはと言うと必死に唇を噛み締め笑いを耐えている。巫山戯るな。
「彼の名はパンナコッタ・フーゴ。僕の部下です」
「へぇ、ねぇ私と回らない?」
勘弁してくれと天を仰ぎたくなる。
みろ、父親を。
震えているぞ可哀想だろジョジョに行け。
いや行くなどこか行け。
「しかし...」
「少しでいいのよ。ねぇお父様お願い」
「...ジョルノ様」
いやこの親甘過ぎるだろ。
ジョジョ、頼むこの女と一緒に...
「...少しなら」
嘘だろジョジョ
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鈴鶴@メガネ=本体(プロフ) - さくらんぼ&チェリーさん» そんなッ!あなたがッ!!大好きですッ!!!(告白)ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです! (2019年8月25日 16時) (レス) id: 022f546ed4 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ&チェリー - もう!本当に!!どうしてこんなに素敵なお話が書けるんですか!?好きです!(テンション) (2019年8月25日 9時) (レス) id: ced51d468f (このIDを非表示/違反報告)
鈴鶴@メガネ=本体(プロフ) - さくらんぼさん» 読んでいただきありがとうございます!是非ごゆっくりしていってください! (2019年8月22日 20時) (レス) id: 022f546ed4 (このIDを非表示/違反報告)
鈴鶴@メガネ=本体(プロフ) - 暇を持て余した夢女さん» とっても素敵な表現ありがとうございます...!こちらこそ幸せです!また機会がございましたらその時はよろしくお願いします! (2019年8月22日 20時) (レス) id: 022f546ed4 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ - 次から次へと呼んでしまいます。気づいたら1時間ぐらい経ってました。 (2019年8月22日 15時) (レス) id: 5e7806b95a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴鶴@メガネ=本体 | 作成日時:2019年8月4日 19時