【リボーン】信じた者を守るため 2 (ページ8)

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命令ページ8

比較的暖かい昼下がり
腹が満たされ睡魔に襲われていてもおかしくはないが、この空間では文字通りせわしなく火花が散り、銀光がその隙間をぬって煌めいていた

ベル「結局どうだった？有給取れたの？」

貴方「ううん。過労で死にそうな鮫さんはもう本部に向かったって」

ベル「そんなのスクにあったっけ？」

貴方「ボスに押し付けられたやつだよー」

彼らの手に握られた刃が、照明に反射し妖しく光る

数秒間、静寂が流れた
全ての動きが静止し、まるで時が止まったかのよう
空気の流れも感じない

…ダンッ!!

少年が壁を蹴りあげ、大きく跳躍するまでは

彼の手元から滑るようにナイフが少女の元へ飛び、彼女もすかさず扇を広げ弾き返す

少女もまた跳躍し、金属製の扇を振りかざした

ベル「…チッ」
貴方「負っけないよ～♪」

二流の第三者から見れば、息も付かぬ殺し合い

一流の第三者から見れば、ぬるい遊び

そして、当事者に言わせてみれば、

貴方「…あ」

ただの、"暇潰し"

事の発端は、暇だからゲームをしよう、という少年の一言から

…内容はこうだ
サシのガチバトルをして勝者になった者は、敗者にひとつ命令をすることが出来る
敗者はそれを必ず実行しなくてはならない

ルールは極めて単純だが、2人の欲求を満たすには、充分だった

ザシュ…ッ

銀の刃が紅に染まる

傷口から鮮血が噴き出す様を、なんとか視界の端に捉える事が出来た

貴方「…っ」

ベル「うししししし!!」

先に白旗を上げるのはどちらか

本当の「ゲーム」はここからと言えるだろう

ベル「あぁあﾞ～っドクドクが止まんないよ…!!」

王子の本気は、自分の血を見てから始まるのだから

・

ルッス「んもぅ、遊ぶのも程々にしなさい。明日からは通常業務なのよ」

久しぶりに幹部(1名を除く)とボスが揃ったディナーを終え、入浴前にお茶を楽しんでいたルッスーリアが口を開いた

その視線は対照的な表情を浮かべる年少組に注がれている

貴方「…」

ベル「うししっ♪」

珍しく静かな少女が全身から不機嫌なオーラを出している一方、少年は底抜けに幸せそうだ

というのも、彼女は本気を出した彼に負けてしまったからだ
普段なら少年は本気を出すと、その間の記憶を飛ばしてしまうので彼女もそれを期待していたのだが、今の彼にはしっかりと勝利した記憶があるらしい

そして、意識の戻った彼の言葉が、更に彼女を不機嫌にした

『夜、俺の部屋に来てよ。命令だぜ？』