【リボーン】信じた者を守るため 2 (ページ14)

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淡く薄い光ページ14

白い寝具に散る黒髪も、白い肌に影を落とす長い睫毛も、とても綺麗ではあるが、儚さをまとっている
今は手の平を反せばいとも容易く流れ落ちるこの黒髪に触れられなくなる日がいずれ来るのだろうと考えると、もう少し、この手のなかに留めていたいと思うのは、我儘だろうか

レイ「慣れたもンだな…」

あどけない寝顔を晒しているAの姿は、出会った時には見られなかったもの
初対面の時こそ警戒されたが、自分が雪の守護者という同じ境遇にあったせいか、それもすぐに解けた
彼女の、明るく人懐っこい性格があってこその順応かもしれない

レイ「…オレの事なんて、何も知らねぇくせに……」

レイの心にあるのは、ほんの少しの優越感と、それに勝る申し訳ないという気持ち
実は、リングに宿る精神体である彼(彼女と呼ぶ方が正しいのかもしれないが、ここでは彼としておく)は、Aの記憶を覗くことが可能なのだ

…何故覗けるのか疑問が残るかもしれないが、それはまた後日説明しよう

故に、Aがこの世界に来た理由が、自ら命を絶ったからだと知っている

また、明るさの裏に、拭いきれない悲しみが眠っていることも知っている

さらに、達成されなかった身投げの先を、まだ心の奥底で望んでいることも知っている

そして、それが叶わないことも

もう一度、黒髪を手に取る
今度は手の上に留まった

A「ん………朝…？」

瞼が重そうに押し上げられる
気だるげな視線はゆっくりと移動してレイの姿を捉えた

レイ「まだ早い…もう少し、」

"…このままで"

最後の一言を聞くことなく、彼女の瞳は閉じられる
自ら、意識を繋ぎ止める事を放棄したようだった

大理石の壁から放たれる淡く薄い光が、目の前の少女に相まって、美しさを増す
暫くすると、精神体のレイは白く燃える炎となって姿を消した

完全に彼の気配が無くなってから、少女はむくりと体を起こす

A「また何も聞けなかったなー…」

実は、ずっと意識はあったのだ
寝ているふりをしているだけで、彼が話したことは全て覚えていた
その中で、ひとつ引っかかっている言葉がある

『オレの事なんて、何も知らねぇくせに』

そうに決まっているのだ
一週間程前にあったばかりなのだから
しかし、何かを隠されている気がする
その"何か"を解き明かす術は無いのだけれど

白く光る壁が不安を掻き立て、迫ってくるようだった

――――――…………グルル………