第33話 ページ34
ディーノさんのところから飛び出して暫く経って、遠くからロマーリオさんの声が聞こえてきた。
「おーい、A？いるかー？」
「…いません」
くぐもった声を上げると、ロマーリオさんの声が笑ったように揺れた。
「そこにいたか」
私は中庭のベンチと後ろの花壇との間で丸まっていた。
「大丈夫か？」
「…」
「そーかそーか」
喧嘩の始まりは些細だった。
また訓練場にいたことをディーノさんに指摘された私が堂々と幻術の練習をしていたことを明かし、それに対してディーノさんは今度こそ私に訓練場の立ち入りを禁止したのだ。
ロマーリオさんは私が隠れているベンチに座った。こっちに目を向ける気はないようだ。ありがたい。多分まだ目が真っ赤だ。
低い声が聞こえる。
「…嬢ちゃん。お前さんに人が撃てるか」
「…撃てなくちゃいけませんか？」
「まぁ、そりゃあれだな、ボスがあんなんだから、撃てなくてもなんとかなるか」
「…撃てますよ。人を殺したいほど憎む気持ち、知ってますから」
「どこでそんな感情持ったんだ？」
「そこは黙秘です。私にだって敵味方関係なく誰にも言えない秘密くらいある。…ボスだって、同じくらいの時にはすでにボスだったじゃないですか」
「まぁなぁ」
「それなのに私は訓練もしちゃいけないなんておかしい」
「そうだなぁ」
「…私、守られてばっかりです。初めて外国に来て、一人だったら私、すぐリタイアして日本に戻ってた。里親が逃げた時も、私を施設に送り返せばよかったのに、私に選択肢をくれた。ここで雇ってくれてる。住まわせてくれてる。戸籍なんてあってないような私を、です。…でも、だからこそ悔しい。飾り物みたいに、守られてるだけの女の子には、なりたくないんです。ちゃんと、拾ってくれた恩人に報いたい」
ロマーリオさんはしばらく黙った。
「そんな風に思ってたのか…」
頷く代わりに黙り込む。
ロマーリオさんは、押し付ける様子もなく「でもな」と加えた。
「ボスの気持ちもわかってやってくれ。確かに牽制の意味もあったが、何の説明もなくお前の里親になるはずだった奴らが行方不明になってお前の幸せを奪っちまったと思ってるあいつには自己判断でお前を戦場に放るなんて出来ねぇんだよ」
「…分かってます」
大切にしてくれる人がいることは尊く得難いことだって誰よりもわかってる…つもり。だから本当は何も言えない立場にいることも、わかってる。
(それでも、私は…)
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誠咲（みざ）(プロフ) - kyokapi23さん» コメありがとうございます！き、期待してくださっているのに更新遅れててごめんなさい…もうすぐ！もうすぐ続き書けますので！！明日には載せますので！気に入っていただけて嬉しいです！ (2018年11月2日 22時) (
レス) id: dfddf227b0 (このIDを非表示/違反報告)
kyokapi23(プロフ) - この話めっちゃ好きです！なんか、これからが気になるところで更新が止まっててちょー焦れったいです(笑)これからも更新楽しみに待ってます！頑張ってください！ (2018年10月30日 20時) (レス) id: 8d4ba9d346 (このIDを非表示/違反報告)
誠咲（みざ）(プロフ) - ますしんさん» ありがとうございます！私の理想を詰め込んだ作品ですのでそう言っていただけると嬉しいです！更新頑張りますので末長くお付き合いください^_^ (2018年9月10日 22時) (レス) id: 9a792f54fe (このIDを非表示/違反報告)
ますしん - 誠咲（みざ）さん» ディーノさんとロマーリオが好きなのでキャバッローネファミリーに入れるなんて羨ましい！雑用でいいから入りたい…続きが気になります！これからも楽しみにしています！！ (2018年9月10日 10時) (レス) id: 644073c0b8 (このIDを非表示/違反報告)
誠咲（みざ）(プロフ) - 黒瀬さん» 初めてのコメントすっごく嬉しいです！ありがとうございます！可愛いと言って貰えてて良かったです^ ^確かにディーノさん落ち、少ないですよね。これは書かねば…！って思いました(笑)更新、頑張りますね！！ (2018年9月10日 7時) (レス) id: 9a792f54fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：誠咲（みざ） | 作成日時：2018年9月3日 19時
