169 ページ21
力強い声に言葉が途切れる。ほらな、言霊なんて能力無くても、こんな風に発言力のある人間なんていっぱい居るねん。言葉通り彼女の方に視線を向ける。
｢オスマンは今誰を見てるの？私を通して誰に縋ってるの？あなたの見てる私はあなたの記憶の私と一緒？｣
｢貴方がどれだけあの人を願っても、もう会えることは無いんだよ｣
俺にとっては眩し過ぎる瞳で、諭す様に、宥めるように安心させる笑みを浮かべて言う彼女の中に、垣間見える熱が俺を焦がす。
なんでそんなにおれのこと、想ってくれるん？俺は今やってまだ迷ってるよ、君をアイツのとこに送り出す事。不安しか抱えてへんよ。
やけど君はそんな事も全部わかってて気にしてなくて。それに俺と君のこの感情も、前世の刷り込みなんじゃないかって思うと、どうすればいいんかわからんくて。
別に彼女に会いたいと思ってる訳じゃない、やけど謝りたいとは思ってる。
俺の心でも読めるかのように、思考の直後彼女が言った。
｢謝ったって意味ないよ、きっとあの人は貴方にありがとうって言って欲しいはずだから｣
｢なんで、そんな事わかるん……｣
｢そんなの……｣
続きを綴らず呆れたように笑うAちゃんが、なんか全部赦してくれる気がして不思議と涙腺が緩んだ。あぁ、ほんま何処までも優しくて強くて、素敵な子。いい子やとか、そんなん初めっから知ってたよ。だって今も昔もそんなところを好きになったんやもん。
口を閉ざした彼女を見かねた俺は落ち着かすように深呼吸してパッといつも通りの笑顔を浮かべて言った。
｢いや、もう躊躇するのはやめる。ほら、俺紳士やし、女の子に守られてばっかなのは性にあわへんから。でもそれ以前に俺JKでもあるし……｣
うーんと考える動作。こんな時でさえ、俺の口はおしゃべりでお遊びを言うてしまう。そんな自分に内心呆れて笑った。
｢迎えに来て、逢いに来て。俺はずっとこの場所でAちゃんのこと待ってるから｣
｢もちろん、お姫様をしっかり迎えに行くよ｣
頼もしく言うた彼女に、｢お姫様って｣って笑いながら俺が言うたら君も釣られたように笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 167人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねこ(プロフ) - 残念なうずらさん» うあー！コメントありがとうございます！嬉しくてにへにへしちゃいました…笑 私もイメソン大好きオタクなので共有出来て良かったです^^ この度は、最後までお付き合い頂きありがとうございました！またどこかで会えましたらよろしくお願い致します…♡ (5月7日 5時) (
レス) id: add6e87120 (このIDを非表示/違反報告)
残念なうずら(プロフ) - 完結おめでとうございます。手に汗握りながら最後まで見届けさせていただきました。当方、事あるごとにイメソンを探し漁るオタクなためあとがき非常に助かりました。また読み返しながら聞いてみようと思います。この度は素敵な作品をありがとうございました！ (5月7日 0時) (レス) @page45 id: fce40baecb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ねこ | 作成日時：2023年4月15日 23時
