１６ 気づかない ページ16
自分の両親を見なかったことにしてファンたちと話していたAは、ファンが並んでいる列の後ろの方を見て愕然とした。
(嘘・・・なんでここに並んでるのよ)
Aの両親が列に並んでいたのだ。
流石にこれにはAも動揺を隠せず、ファンに心配されるほどだった。
なんでもないです、すみませんと誤魔化しつつもAの心はもうファンサービスには向かない。
どうすればいいのだろうかとAは思案する。
この場で両親に家へ引っ張って行かれるのは絶対に嫌だ。
ファンたちも、私の醜態を見てAから離れていくだろう。
でも自分には”それ”を阻止するだけの力がない。
時は無情に進み続け、とうとう両親が目の前にやってきた。
だが、両親の様子がおかしい。
「はじめまして、いつも作品読ませて頂いています」
「私達のような年代の者も楽しく読めて、本当に凄いですね」
「はあ・・・ありがとうございます(？)」
おずおずとお礼を言いながら、Aはもう一つの可能性について考えていた。
(この二人、私が分からないの？)
確かに私は、今までしていなかったメイクをし、今まで着ていなかった服を着ている。だからなのだろう。
連れ戻されることはなさそうなのはありがたい。
ただ、実の親に気づかれなかったという点は、少なからずAを悲しくさせた。
(嬉しいけど辛いよ・・・二人は、私を勉強するための機械としてしか見てなかったんだろうな)
複雑な心を抱えながら、Aは”A”として面会を終えた。
両親は、去り際こう言った。
「娘もAさんと同い年なんです・・・今のAさんのようにでもなってくれたら嬉しいのですが」
「え？あ、そうですね、では！」
慌てて返事をしつつも、Aの脳内ははてなマークで一杯になった。
(あの二人は、私を勉強するためのものとして扱っていた・・・それはまだ納得できる。だけど、Aのようになってほしい？つまり勉強ばかりじゃなくていいっていうこと？・・・やっぱりあの二人が考えることは分からないよ・・・)
Aは頭を悩ませつつも再びファンサービスに励むことにした。
「はい、いつもありがとうございます！」
「いえいえ、こちらこそ！」
満面の笑みを振り撒きながら。
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リアナ-璃亜那-(プロフ) - レミードールさん» ありがとうございます！違和感のある文章等ありましたら遠慮なく言ってくださいね！ (2021年9月21日 15時) (
レス) id: 6afe7efa1d (このIDを非表示/違反報告)
レミードール - とっっっってもおもしろいです！ (2021年9月21日 15時) (レス) id: 2c7b3635e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リアナ-璃亜那- | 作成日時：2021年7月24日 12時
