14 イベント当日 ページ14
そしてとうとうイベントが行われる日がやってきた。
Aは朝早くに目覚め、嬉々としながら買ったばかりの服を着た。
両親が出かけたことを確認してから一階へ降り、玄関ドアを開けて外へ出た。
勿論きちんと戸締まりはしておく。
イベント会場へ行く前に行かなければいけない場所があるので、Aは早めに家を出たのだ。
「あ、こっちこっち!」
「早苗さん!」
早苗は、前にAが行ったショッピングモールのメイク売り場の店員である。
メイクの打ち合わせをするうちに仲良くなった二人は、年齢の差こそあれどよい友だちとなっていた。
「今日はよろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくね」
挨拶もそこそこにメイクを始める。
いつにもまして手際よく、綺麗に仕上げる早苗の手付きにAは見惚れていた。
「よし、できた!じゃあ行こうか」
「はい!」
大きく深呼吸をしたAは、早苗と共に軽い足取りでイベント会場へと向かった。
会場につくと、人は殆どいなかった。
「早く来すぎちゃったみたいね」
苦笑する早苗の隣で、Aは初めて来たその場所に目を輝かせていた。
「すごい・・・」
人はいないものの、会場は広かった。
これだけの規模の会場なのだから、相当の人数が来るはずだ。
その中にどれくらい「A」の作品を気に入ってくれている人がいるのかはわからないが、それでもAがこの空間を好きになったのは変わりない。
「広いわよね」
見惚れていると突然早苗が声をかけてきたので、Aは慌てた。
「わっ!・・・す、すみません・・・そうですね」
「ふふ、いいのよ。私も初めて来た時は驚いたわ・・・こんなにたくさんの人が利用してくれているんだなって」
「”小説展示館”って凄いんですね」
そんな他愛のない話をしているうちに、少しずつ人が集まってきた。
誰もが楽しそうな笑みを浮かべ、キラキラと輝いている。
”小説展示館”は、全てを諦めていた自分でさえも明るい気持ちにしてくれる・・・Aは改めて”小説展示館”の凄さに気付かされることとなった。
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リアナ-璃亜那-(プロフ) - レミードールさん» ありがとうございます!違和感のある文章等ありましたら遠慮なく言ってくださいね! (2021年9月21日 15時) (レス) id: 6afe7efa1d (このIDを非表示/違反報告)
レミードール - とっっっってもおもしろいです! (2021年9月21日 15時) (レス) id: 2c7b3635e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リアナ-璃亜那- | 作成日時:2021年7月24日 12時