引きこもりの少女がスポットライトを浴びるまで【完結】

８　イベント ページ8

Aが”小説展示館”に没頭して数カ月がたった。

Aが自分で言うとまるで自慢しているようにも聞こえると本人は遠慮しているようだったが、事実Aの人気は留まることを知らないどころかどんどん拡大していっている。

その間に、Aは新作をどんどん発表していった。

初めは一作を唯一、多くても二作までと決めていたはずだった。

しかし、書きたいシナリオが一作品のなかに収まりきらなくなったために、新たに作品を作らずにはいられないのだ。

そして新たな作品を出す度、「ファン」が増えていく。

”Aさんの作品は、いつも面白いですね！凄いです”

”Aさんって新作をどんどん出せて、しかも前からある作品の更新もサボらないんですよね・・・私ならすぐサボっちゃいます(笑)”

そんな暖かなコメントは、いつもAを勇気づけてくれた。

そしてコメントが届くたびに、Aはもっと頑張ろうと奮起するのだ。



そんなある日、”小説展示館”からメールが届いた。


小説展示館平素は本アプリをご利用頂いて本当にありがとうございます。
さて、今年もイベントを行う時期がやってまいりました。今年は、本アプリをご利用頂いている方どうし更に親しい関係をお作りしたいという思いから、お客様に直接御足労をお願いし、顔を合わせるイベントにしたいと考えております。詳細は下記にございます。
是非ご参加ください。

「イベントか・・・」

今年入ったばかりだったAは、このことを知らなかった。

そして、参加したいと強く思った。

(でも・・・)

家族のことはどうしよう。


もし外に出ることに気づかれたら、また学校に行かされる。また勉強させられる。

そんなのは、絶対に嫌だ。


とはいえ、Aに良い方法は見つからなかった。


イベントまでにはまだ時間がたっぷりある。

それまでに考えることは十分できるだろう。

そう思い、Aは”小説展示館”からのメールを閉じたのだった。

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