タラシ ページ3
狐弾先輩は生徒会長だった。
確かに先輩には、人を統率する力が十分に備わっている。
彼なら信用していていけると感じたのは私だけではないはずだ。
事実、狐弾先輩の後から2人の生徒会役員が部屋に来たが、皆リーダーシップがありそうだとは感じるものの先輩ほどの”強さ”は持っていなかった。
生徒会のメンバーは全員で4人、かなり少ない。
生徒会長は前述のとおり狐弾蒼先輩。副会長は
今回は男女比率が1:1。今まではどちらかに偏るのが殆どだったということでかなり珍しいらしく、先生方が意外がっていた。
「全員揃ったね。俺も含め皆、当選おめでとう。今日から半年間よろしく」
狐弾先輩が口火を切ると、羽純先輩がくすりと笑う。
「おめでとうなんて狐弾に言われてもね。あんたの票、ほぼ自称ファンの人たちのでしょ?」
「ファン?」
「そう。狐弾は誰にも優しいタイプだから、無自覚に女子たちをを落とすのよ。所謂タラシね」
聞き返した私にそう答える羽純先輩は、女子の私も見惚れてしまうほどの美人だった。
切れ長の目、すっと通った鼻筋、白い肌。きっと同性にもモテるだろう。
「いやいや、俺タラシじゃないよ。何言ってんだ羽純」
「お前がそういう謙遜するの普通にうぜぇんだって」
弁解しようとする狐弾先輩の言葉を遮ったのは久東先輩。
セリフだけ聞くと乱暴な人のように思えるが、これは彼なりのノリなのだろう。目が笑っている。
「ほんとに違うんだって・・・やめろよ・・・」
狐弾先輩は改めて否定する。
でも、完全な偏見ではあるが、確かにモテそうだ。
高身長で顔やスタイルもよい。自分の意見をはっきり伝えられるところや堂々としているところは好感が持てる。
それに少し話せば分かることだが、本当に優しいのだ。
どんな相手に対しても褒め上手、喜ばせ上手なのだろう。
「会ったばかりですが、確かに狐弾先輩はモテそうですね」
「嘘!狐弾あんた、後輩にまで手だそうとしてるわけ?」
「いやだからしてないって!なんでそうなるんだよ、話してただけ!」
私が何となく言った言葉に反応する羽純先輩と大慌てで弁解する狐弾先輩。
二人のやり取りに、私は思わず顔を綻ばせた。
随分楽しい生徒会活動ができそうだ。
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夕和(プロフ) - sogu508さん» ちょっとそのコメントやめてwwwめっちゃ笑ったwwwww (2022年11月29日 20時) (レス) id: 40c359dc38 (このIDを非表示/違反報告)
sogu508(プロフ) - どうも狐弾先輩です。読者の皆さん俺の彼女がお世話になっています。不思議な気持ちですが毎回楽しみです。 (2022年11月29日 20時) (レス) @page15 id: 4549537148 (このIDを非表示/違反報告)
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