番外編 - 千花 ２ ページ30
姉ちゃんは、お客様が納得するまでお付き合いしようとしているのだ。
どんなに時間がかかっても、邪険にする気などさらさらないと言いたげな顔で、姉ちゃんはお客様と話している。
「これはちょっと子供っぽすぎるよ」
A『そうですか。雰囲気は近づいてきましたか？』
「そうだね、最初に比べたらね」
A『でしたらこの路線で探していきますね』
屈託のない笑顔を崩すことなく姉ちゃんは着物を探し続けた。
姉ちゃん。
どうしてそんなに一生懸命になれるの？
姉ちゃんだって、着物の修復作業がまだあるのに。
どうしてそんなにお客様一人一人に向き合えるの？
お客様は大勢いるのだから、大変に違いないのに。
A『わざわざ来てくださってるんだから、尽くさないといけないでしょ』
私が尋ねると、姉ちゃんはさも当然といった様子で答えた。
あの後、かなり時間はかかったもののなんとか目当ての着物が見つかり、お客様は姉ちゃんに感謝しながら帰っていった。
千花「それはそうなんだけど。でも、姉ちゃんだってまだ仕事残ってるじゃん！後々大変なのに」
A『知ってる。でもそれは頑張ればすぐ終わる話。対してお客様にとっては、一着一着が大事なのに、なあなあにはできない。妥協なんてしたくない』
千花「・・・」
私は気づいた。姉ちゃんは、父ちゃんや母ちゃん、私以上に、この店に、そしてこの店の着物に誇りを持っているんだ。
でも、
気づくのが遅すぎたらしい。
母「あんた、今日店番は千花に任せて一人の客につきっきりだったんだって？」
父「何をしてるんだ！情けない・・・妹の方が役に立ってるじゃないか」
その夜、姉ちゃんは両親に叱られていた。
母「しかも、まだ修復だって終わってないんでしょ？まったく、時間の無駄じゃない」
千花「ち、違うよ」
事情を知っていた私は、急いで口を開いた。
でも、それもすぐに遮られてしまう。
母「庇わなくていいの、千花ちゃん。姉だってのにちゃんと仕事をしないAが悪いんだから」
千花「・・・」
母ちゃんは、聞く耳を持とうとしなかった。
ねえ、どうして私ばかりを贔屓するの？
褒められるのは嬉しいけど、こんなのおかしいよ。
そう思いながらも、私は気持ちを悶々としながら抱え込むだけだった。
だけど、もし私がもっと早くに声を上げていれば、
こんなことにはならなかったかもしれない。
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たまき＠元夕和(プロフ) - こだぬきさん» そうなんですね！なんだか堕姫ちゃんらしい・・・ (2022年12月29日 16時) (
レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - たまき＠元夕和さん» 一度匂い試してみた事あったんですけど、可愛い様な色っぽい様なそんな感じの匂いでしたよ。 (2022年12月28日 21時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)
たまき＠元夕和(プロフ) - こだぬきさん» はじめまして！いつもありがとうございます。そうですね、人間時代はできませんでしたからね･･･。めっちゃわかりますそれ！！ (2022年12月28日 19時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
たまき＠元夕和(プロフ) - 零さん» わかりました、ありがとうございます！ (2022年12月28日 19時) (レス) id: d0ef2aa258 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - はじめまして！いつも楽しく読ませて頂いてます！私個人としては千花ちゃんも鬼になって姉妹仲良く暮らして欲しいなと思ってます。後堕姫ちゃんといえばイメージ香水あるんですよ〜。 (2022年12月28日 19時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)
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