彼女の正体が何であれ【鬼滅の刃】【遊郭編】

もう大丈夫 ページ47

あの激しい戦いから一夜。


善逸くんが目を覚ましたと、鬼殺隊の治療所から手紙が届いた。


”目覚めたはいいのですが、まだ炭治郎さんや伊之助さんが意識が戻らぬままで、当分目を覚ますこともないと知った途端大泣きし始めて大変でした・・・”


治療所で負傷した隊士の看病をする少女の一人からの、少しだけ笑えるような楽しい内容に、私は頬を緩めた。


とはいえ、そもそも失神さえしなかった天元さんと、戦いの翌日目を覚ました善逸くん以外の二人はまだ起きていないことになる。


A(どうか・・・どうか、二人が目を覚ましますように)


私は、戦いの時の慣れない治療と力仕事によって傷だらけになった手を組んで祈った。











それからどれほど時間が経っただろうか。


遊郭はかなり復興してきていた。


私達遊女の力だけでなく、多くのお客様たちが復興のお手伝いをしてくださったからだ。


手伝ってくださるお客様は皆、「いつも楽しませてもらってるんだからこれくらいさせてくれ」と言う。


遊郭に対していい印象を持つヒトは少ないと思う。


だけど、ここは本当は、どこよりも人間らしい温かみに溢れた場所なのだ。





戦いからあと一週間で二ヶ月がすぎるというある日。


再び、鬼殺隊員の治療所の少女から、今度は”伊之助さんが目覚めた”という内容の手紙が届いた。


あとは炭治郎さんだけ。





お願いです、お釈迦様。


また、あの三人で戦わせてあげてください。









炭治郎さんの意識が戻ったのはその一週間後。


さらに善逸くんは、炭治郎さんが目覚める二日前には任務に復帰していた。


なんという回復力の速さだろう。もう安心だ。


私は深く息を吐いた。

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