彼女の正体が何であれ【鬼滅の刃】【遊郭編】

一致 ページ32

善逸くんの「蕨姫は鬼だ」という発言。


いるべきでない場所にいた蕨姫。


善逸くんの失踪。




・・・蕨姫が鬼なんだ。


蕨姫が善逸くんをどこかにやったのだろう。


善逸くんは蕨姫の正体に気づき、蕨姫も善逸くんの正体に気づいた。


だからきっと蕨姫が・・・。


善逸くんはどうしているのだろうか？


美しいものが好きな蕨姫のことだから、きっと喰われてはいないはずだ。


でも、だとしたら一体どこへ・・・？


私はダメ元で店の中を探し回った。


しかし、案の定見つからない。


「もうだめだ」


「蕨姫に恐れをなして足抜けでもしたんだろう」


探していた人達が、そう言いながら元いた場所に戻っていくのを見て、私は悲しいような複雑な気持ちになった。


善逸くんが足抜けなんかするはずないのに。


とうとう楼主さんまでが諦めてしまい、店は善逸くんがいたときと同じ雰囲気に戻ってしまった。


既に、善逸くんを探しているのは私と胡月ちゃんくらいだ。


その胡月ちゃんも、私が探しているから付き合ってくれているだけ。私が諦めれば胡月ちゃんもじきに探さなくなるだろう。








胡月「・・・もう、だめなんじゃない・・・？」


いきなり、ぽつりと胡月ちゃんが言った。


胡月「Aちゃんには悪いけど・・・こんなに探して見つからないってことは、善子ちゃんはもう足抜けした(行っちゃった)んだよ。だからもう、諦めよう？」


A『・・・胡月ちゃん』


胡月ちゃんが言っていることに間違いはない。


確かに状況的にも足抜けだ。


だけど、足抜けじゃないのに・・・どうして皆諦めちゃうの？


気づいたら、口が勝手に動いていた。


A『・・・酷いよ』

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