あの日 ページ40
【過去】
私が生まれたのは、世界一と言っても過言ではないほど貧乏な家庭だった。
食べられるかどうかも分からない道端の雑草を拾ってきては洗いもせずに食べるのはごく普通だった。
両親は、これまた世界一のクズで、物心がついたときにはもう働かされたり物乞いをさせられたりしていた。
両親に抱きしめられたことは勿論、笑いかけてもらった記憶すらもない。
というより、そもそも両親が笑った顔さえも見たことがなかった。
でも、少しも辛くなかった。それが普通だと思っていたから。
両親は、少し気に入らないことがあるとすぐ私と一つ下の妹をぶった。
私達が成長し食費が更にかさむようになると、暴力はもっと酷くなった。
私は妹を守った。妹の愛らしい顔を涙で濡らしたくなくて、必死になった。
だけど私の小さな身体では十分に庇いきれず、妹もすぐ痣だらけになっていった。
お金がないのは、両親が博打で散々に散財してくるからなのに・・・年齢が上がるにつれ、私は両親の理不尽な仕打ちに疑問を持つようになる。
それは妹も同じようで、よく言うようになった。
[お姉ちゃん・・・こんなの変だよ。私達が持ってきたお金、全部お父さんとお母さんの遊びに使われちゃってる]
その度私は、ごめんねと謝りながら言い訳していた。
妹も、明るい未来が訪れるなんてありえないと分かっていたのだろう。
だけど、そんなこと言わずに頑張ってくれた。
とはいえ、妹が酷い生活環境の中で疲弊しているのは明らかだった。
[いつかお姉ちゃんと二人で暮らしたいな]
それが妹の口癖になった頃、母親が私達に”遊女にならないか”と提案を持ちかけてきた。
当然だが毎月の仕送りは絶対である。
勿論私たちに拒否権はなく、ただ頷くしかなかった。
妹はこれを運がいいと言った。
なんとかして遊郭から逃げ出せば晴れて私達は自由の身だと、そうすれば二人で暮らせると満面の笑みで言った。
私も一緒に笑った。
だけど、
あの親は普段は私達の気持ちなんか知らないくせに、
どうしてこの企みは気づかれてしまったんだろう・・・?
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夕和(プロフ) - 語彙力無のネコさん» コメントありがとうございます!堕姫ちゃん可愛すぎるから、本編よりもっと好印象にしちゃいましたw (2022年10月8日 21時) (レス) id: 5def6d75b1 (このIDを非表示/違反報告)
語彙力無のネコ - 最高(*`ω´)b最高最高最高!夢主ちゃんも堕姫ちゃんも可愛すぎぃッッッ!!!♡ (2022年10月8日 21時) (レス) @page19 id: e04f466ec6 (このIDを非表示/違反報告)
金平糖 - 青白の狼さん» それいいですね! (2021年11月23日 23時) (レス) @page48 id: 63ca64d519 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜那(プロフ) - 青白の狼さん» 今の予定だと話が入らないので、続編で入れますね!素晴らしい案ありがとうございます! (2021年11月16日 13時) (レス) id: 0456b1597f (このIDを非表示/違反報告)
青白の狼(プロフ) - 蕨姫パイセン・・・ただ倒すだけでなく、転生後の友情物語もあったらいいなー。 (2021年11月16日 13時) (レス) @page35 id: eebaad3e1e (このIDを非表示/違反報告)
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