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絶対に許せない ページ16

”アンタ綺麗な顔してるから”


初対面で、無惨様に優遇されているという特殊な立場にあった私を、堕姫さんは褒めてくれた。


”割と才能あると思うわ”


上弦の中でただ一人の同性だったから、嬉しかった。


”無事ならよかった”


柱を前にしても、私の心配をしてくれた。


”アンタもよくやったわ”


何もしていないのに、あの大好きな笑顔を向けてくれた。


”ある意味似てるわね”


少しではあるが似た境遇を持つ堕姫さんがいてくれて、安心した。分かってくれる人がいる、そう思った。


妖麗で、無邪気で、そして強い堕姫さんに、もう会えないんだ。


ゆっくりと、”わたし”がそのことを理解する。


それと同時に、得も言われぬ感情で胸が満たされた。


A『堕姫さん』


呟く。


どうしたの、って言いながら、どこかから堕姫さんが現れる気がした。


そして、私の情けない顔を見て半ば困ったように笑うんだ。


ヤダ、折角の綺麗な顔が台無しじゃない、って。


でも、そんなのは全部全部私の妄想でしかなくて、堕姫さんはどんなに待っても来てくれない。


そんなことは、私が一番よく分かっていた。


それでも・・・。


A『堕姫さん』


叶うならばもう一度、あなたと笑い合いたかった。


A『堕姫さん・・・っ!』


叫ぶ。


もうこの世にはいない堕姫さんに、どこか遠くに行ってしまった堕姫さんのところに届くように願いながら。


そして、私は泣いた。


もう、この感情をどうすることもできなかった。


彼らはたった二人で、悲惨な最期を遂げたのかもしれない。


できることなら、その場に寄り添ってあげたかった。


鬼殺隊。


私から、私達鬼から、堕姫さんと妓夫太郎さんという素晴らしい友を奪った。


許せない、絶対に。













〚No Side〛


Aも、千花も、他の上弦たちも、そして鬼舞辻でさえ知らなかった事実がある。


死にゆく堕姫に、いや、蕨姫に寄り添った少女がいたこと。


彼女は、戦いの中では蕨姫の味方こそしなかったものの、蕨姫のことを想い続けた遊郭でたった一人の遊女だった。


たとえ彼女の正体が何であれ、私は蕨姫花魁を信じる。


彼女が鬼であることを知った後もそう言い続けたその遊女のおかげで、蕨姫は少しだけ、ほんの少しだけ幸せでいられたのかもしれない。


─過去作「彼女の正体が何であれ」より─

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緋月 - たまきさん» うまかった!(^^) (2023年2月21日 13時) (レス) id: eec4e6d19c (このIDを非表示/違反報告)
たまき(プロフ) - 緋月さん» あねwwならよかった (2023年2月21日 12時) (レス) id: 10bfc6b38c (このIDを非表示/違反報告)
緋月 - たまきさん» まぁ、2つ食べれたからよかったんだけどねw (2023年2月21日 8時) (レス) id: eec4e6d19c (このIDを非表示/違反報告)
たまき(プロフ) - 緋月さん» 忘れるな!?当日に忘れるな!!w (2023年2月21日 7時) (レス) id: 10bfc6b38c (このIDを非表示/違反報告)
緋月 - たまきさん» ありがとう!🐜ケーキは今朝食べた。昨日は忘れてたらしい (2023年2月20日 15時) (レス) id: eec4e6d19c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たまき | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年12月31日 18時

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