【07】 ページ34
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ナコ『風邪ひいたぁ！？』
「…う、うん………っくしょん！」
ナコ『え、大丈夫なの？一人暮らしでしょ？』
「さっき死ぬ気で病院行ってきた…、風邪だって。帰りはさすがに気力なくてタクったけど…」
ナコ『お見舞い行こうか？』
「いやいい、移ると悪いから。その代わり講義のレジュメとか貰っといてくれると助かる…」
ナコ『わかった！お大事にね』
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ピロロン、と電話が切れる音がして、バタンと両手を布団から出す。
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「………38度……死ぬ」
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ピピピと鳴った電子音。ふらふら、とした足取りで起き上がって常温にしておいたポカリを飲んで
ゼリーを食べて、処方された薬を飲んで
ふらふら、とした足取りでまた戻ってぼすんと死んだように倒れこむ。
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「さむ……」
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一昨日の夜。バカみたいにあの肌寒い中、ベランダで何時間も座り込んでたもんだからこうなった。
昨日、朝起きてなんとなく身体が怠いなーとは思っていたけども。バイトもあるしとテキトーに過ごして
なんとなく昨日の今日でベランダに出るのも憚られたから大人しく眠りに就いたわけだが。
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翌朝。
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死ぬほどの頭痛に、鼻詰まり。
悪寒に高熱。死んだ、と思ってこんな時のためにと色々用意しておいた冷えピタを貼って
マスクをしてふらふらと駅前の病院に行ったら「風邪ですねー」と軽く告げられ
人間とは不思議なもので、風邪と認識するとますます悪化してしまう。病は気からとはよく言ったものだ。
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「うう………」
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寒い寒い、と布団にくるまって寝よう寝ようと目を瞑る。
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ーーーー…和也『大人になるにつれ風邪の抗体は出来るでしょ。そんな簡単に風邪になんないよ、大人は』
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「簡単に風邪、なりましたけど………っごほ」
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微睡む意識の中、不意に口からこぼれた反論。
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今頃、何してるんだろう。昼前、11時。
授業かな。ああ、あの人授業するのか。そりゃそうだ、先生だもん。
先生か。あの人、どんな授業するんだろう。
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あの人は、どんな顔するんだろう………。
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