【銀魂】万事屋一の美少女は銀さんの想い人

優しい人 ページ16

余り、というか全く人気のない駅舎の裏側。



「どうかしたの？銀さん。･･ってうわッ」




突然引き寄せられて、銀さんの胸板に鼻をぶつける。




え、ちょっと待って。これってもしかして。





(抱きしめ、られてたり･･･？)




自覚した途端、そんな場合ではないのにカァと顔が朱く染まるのが分かる。免疫無いんだって、私。




「･･･悪かった」




内心パニックになっていると、不意に銀さんのそんな声が聞こえた。




「え･･銀さん？」




何に対しての謝罪か分からずに聞き返す。



「気づかなくて、悪かった」



どうやら、あの状況になるまで気付けなかったことを詫びているらしい。




「なんで銀さんが謝るの。」



反射で言い返してしまう。



「どっちかっていうと謝るのは私でしょ？だって結局銀さんの手を借りちゃったし」



はは、と笑う。






「･･･笑ってんな」



「え？」



「無理して笑ってんなっつってんだよ」




無理？私、無理してる？




「私、別に無理してないよ？」



「そういうのは鏡でも見てきてから言え」



今にも泣き出しそうな顔してるぞ、と。



「俺しか居ねェんだから泣いとけ」




銀さんのぶっきらぼうで優しい声色に、思わず頬を温かいものが伝う。




「･･･銀さん」


「あァ？」


「怖･･かった」




怖かった、怖かった、怖かった。



堰を切ったように言葉が溢れる。




何時ぶりだろう、こんなふうに泣くのは。人に甘えるのは。




しゃくり上げる私の背中を、銀さんはずっと摩ってくれていた。




「銀さん、」



「何だ」



「･･ありがと」




「･･･俺は何もしてねーよ」





口調はぶっきらぼうだけど。




やっぱり、銀さんは優しい人だ。

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